ファンの心を鷲掴む、孤高に闘う気高さ

今回のゴジラは真正面から捉えられたカットが多い。怒りを爆発させた、荒々しい動きにも注目!
© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

 そんな試行錯誤をしながら作られた62年版は、海外でも相当の人気ぶりだったという。対して新作『ゴジラvsコング』のバトルはCGで再現、大迫力で魅せてくれる。この初対決が見られるまで正味40分近くが経過。じりじりと今か今かとゴジラの登場を待った。

 確か、前作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でもゴジラが登場し、暴れまくるキングキドラと対決するまで40分近くかかった。以後、人間ドラマは二の次で、怪獣中心に物語が進行する。さらには人気怪獣モスラ、ラドンまで登場し、繰り広げられた迫力のバトルは圧巻だった。その死闘の末、〈怪獣王〉としてゴジラが覚醒する。

 今回はキングコングとの対決。炎も放射能も吹けないコングが素手でどう闘うのか。そのあたりも本作の見せ場となっている。個人的には、よりプロレス的な彼らの闘いが好みだったりもするが、コングは新たな力を手に入れ、第二ラウンドに参戦する。

 なぜ彼らは闘わなければならなかったのか。そこにゴジラの、地上に君臨する怪獣王が故の大きな理由がある。言葉のない彼らに感情移入できるのは、その使命感から孤高に闘う気高さがあるからだ。

 

コング映画の美女と野獣的アプローチ

 ついゴジラびいきになりがちだが、1933年に『キング・コング』が登場して以来、コングの活躍ぶりも今や伝説になっている。ニューヨークを代表する摩天楼、エンパイア・ステート・ビルの頂上によじ登るコングの姿は、オリジナル版を観たことのない若い世代でも知っている。

コングも感情を持ち、観客が感情移入できるキャラクターとして動きやアクションがつけられている
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 またコングが人間の女性に恋をし、交流を深める〝美女と野獣〟的アプローチもツボ。2005年のピーター・ジャクソン監督版『キング・コング』はあまりにもその切なさに号泣した。

 余談だが、1986年のジョン・ギラーミン監督版『キングコング2』では、日本での宣伝活動の一環で特番が組まれ、「ミスター&ミス キングコング」を選出する大会で恥ずかしながら優勝、ミス・キングコング(!)になったのも今では良き思い出だ。猿好きということもあるが、コングへの思い入れもゴジラ同様に強い。