本当の希少価値を求めて

 次に、希少価値を求めて、ヴィンテージに目が向けられ始めたこと。いわゆるラグジュアリーブランドまでもが大量に製品を作り、その在庫がアウトレットでたたき売られている現状に、ラグジュアリーにとって不可欠な要素である希少性の価値は、ない。しかもコロナとともにある時代のムードの中では、ぴかぴかの高価な新品を誇示するよりもむしろ、物語のある味わい深い中古品とともにあるほうが、クールに見える。

 というわけで、とりわけロレックスをはじめとする時計、リーバイスなどのジーンズにおけるヴィンテージと呼ばれる希少価値の高いものに消費者の関心が向かい、そこに投機目的での購入も加わって、人気が過熱するようになった。過去に作られたものは作り増しすることができないので、その価値が目減りすることは、ほぼない。

東京・吉祥寺に実店舗を構えるヴィンテージウォッチストア「江口時計店」。「カルティエ」に代表される上質な時計のみを扱うこちらは、店内に修理工房を構えるとともに、美しい写真を掲載したインスタグラムなどで、今まで中古時計に縁のなかった女性の顧客層を掘り起こしている

 

 オークションサイトでは、1980年代から90年代のデザイナーの服の価格がつり上がっている。しかも、従来ならば「ヨウジの古着」という大きなカテゴリーのなかにくくられていたものが、「1985年春夏のヨウジ」と細分化されるようになっている。多くの関心が集まっている証でもある。

 

参入を〝強いられる〟一流ブランド

 そうした消費者のメンタリティを、テクノロジーが後押しする。インターネットによって売買が透明化し、シンプルになったことが、中古市場の盛り上げに多大な貢献をしている。これまで町の古着店としてローカルに営業していた店舗が、インターネットによって、中古販売ビジネスのプラットフォームとして全世界を相手にビジネスができるようになったのだ。面白いことに、中古品売買に関しては、リアルな店舗よりもインターネットの方が、信頼性が高い。誠実でなければすぐに悪評は広まるし、他の購入者の口コミからも信頼度を推し量ることができる。消費者は、他サイトとの比較によって、最適と判断したプラットフォームで、より適正と感じられる価格で買うことができるようになっている。

 そのような中古品販売プラットフォームが活況を呈することで、一流ブランドもまた、そこに参入せざるを得ない状況になっているのが皮肉なことではないか。バーバリー、ステラ・マッカートニ―に次いで、グッチが「ザ・リアルリアル」と提携した。「ザ・リアルリアル」は、2011年にジュリー・ワインライトがアメリカで立ち上げた、高級ブランド商品のリセールに特化したサイトである。