テレワーク導入にともなう課題解決にもBIツールを活用
5月のゴールデンウイーク明けぐらいまでには、全従業員に対して、何らかの形で、テレワーク手段の提供を終えることができました。
一方で、新たな課題も発生しました。例えば、出荷業務の担当者から、通信が遅く業務に支障が出ているというクレームが起きました。当社はインクなどの消耗品を毎日出荷しています。この出荷業務が滞ると、お客さまにご迷惑をおかけすることになりかねません。
そこで、「Domo」を使って、原因を確認、分析していきました。具体的には、出荷業務が集中する午前10時ごろに、誰がVPNを使っているのかを把握する必要があります。しかし、常時利用している約1000名の社員全員に対して一人一人分析をしていくのは手間も時間もかかります。
そこでまず、通信量を本部ごとに把握しました。さらにドリルダウンして、部門ごとに分解し、さらに社員にブレイクダウンしていったのです。その結果、特定の社員の通信量が非常に多いということも判明しました。実際の対処としては、この部門や社員に対して、出荷時間帯の接続は控えるように要請しました。
課題解決後も、定期的に関連部門と状況を共有し、対応を行っています。ログの取得、可視化、レポートまでをBIツールを使って自動化しています。デイリーでレポートの結果を共有するという機能が「Domo」にありますので、協力部門に対しては、このメール配信機能を使って、毎日、状況を共有しました。
新たなインサイトも発見できました。ツールの活用により、分析結果A、分析結果Bが出てくるわけですが、そこでAとBを掛け合わせることで新たな発見Xが生まれてきたのです。例えば、これまでは接続時間が長い=通信量も多いと思っていたのですが、分析結果によると、接続時間の長さと通信料というのは必ずしも比例していなかったという事実も判明しました。
逆に、短時間の接続で大容量の通信をする社員もいました。そういった部分を例外と見なすべきか、それともそのような役割の社員のためにインフラを用意しておかないといけないとかといった判断にもつながると思います。
さらに社内のデータの有効活用化を進めていく
今回、テレワーク手段の提供を情報システム部門として行い、さまざまな経験をしました。それを通じ、3つ重要なことがあると捉えました。1つ目は「データ分析の重要性」、2つ目は「自動化の重要性」、3つ目は「データ有効活用の重要性」です。
まず「データ分析の重要性」については、事実(データ)を元に判断して協力依頼をするところが非常に重要になってきますし、協力依頼を受ける部隊も、データがあると納得感があります。また、データ分析にあたっては知りたい人へ知りたい情報を届けることが重要です。これもBIツールを使ったからこそできたと思います。
「自動化の重要性」については、データ収集や加工に時間を費やすのではなく、判断に時間を費やすといったところが重要になってきます。特に今回はタイムリーな判断が必要でした。4月の緊急事態の時には、ある部隊では翌日から全員をテレワークにしたい、何とか今日中にPCなどの準備をしてほしいといった依頼がくることもありました。
その時のデバイスの状況、回線の負荷状況がすぐに分析できないといけませんが、そういった意味でもBIツールを使って、常に最新の情報が収集、加工できるという状態に持っていけたのは非常に有意義だったと思います。