フジプラスが取り組む商業印刷デジタル時代の新たな挑戦

これからの印刷業界を背負う社長たちの決心

JBpress/2020.4.1

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異業種からの転身!印刷会社の社長を選択した理由

——井戸社長はフジプラスに入社される前、どんなお仕事をされていたのですか。

井戸氏 僕が大学生の頃は、ちょうどバブル。父親が事業をやっていることはもちろん知りながらも、あまり仲もよくはなかったので、父親の会社に入る発想はありませんでした。

 当時、テレビドラマで見ていた国際金融マンに憧れて、ダブルのスーツを着て、ニューヨークを歩きたいという理由から、銀行に入りました。ところが配属されたのは、住宅地の個人営業。定期預金や年金受給口座の肩代わりの営業でした。イメージしていた華やかな世界とは、全然違いましたね。その後、異動してからは、上場企業の融資担当になりました。

 30歳手前になって世の中の仕組みが見えてきた頃に、弊社のような規模の会社は後継者がいないと大変なことになるとわかったのと、結婚して子どもができたタイミングということもあって、父親の会社に入ることにしました。

——まったくの異業種から転職されて、どう感じましたか。

井戸氏 働いている人のモチベーションや考え方には、ギャップを感じました。今思えば、あの頃の自分は、すごくプライドが高くてツンツンしていましたね。でも、そのうち「そんなにえらそうにする必要性なんてないよな」と気づいて、自分を変えるように努めました。

 最初は平社員で入って、10年くらいかけて常務になっていったのですが、38歳のときに、いろいろな考え方の違いから、もうこれ以上、父親にはついていけないなと思って、「会社を辞める」と伝えたんです。そうしたら、「だったら俺が辞める」と。そこで社長交代が決まりました。

——葛藤はありましたか?

井戸氏 そりゃ、いろいろありましたよ。でもやはり会社をどう変えていくべきかはすでに見えていましたし、金融業界で働いたおかげで経営を見る目が少しは養われていたと思います。

 だから変革を起こさなければいけないという自信につながっていたと思います。今でも売上げではなく利益にこだわっているのは、そのときに学んだことなのかもしれません。

印刷業界で生き残るために

——今、力を入れていることは何ですか。

井戸氏 これまで印刷の前工程にばかり力を入れてきたのですが、最近は工場に手をかけていて、自動化による効率化を図っているところです。印刷業の仕事は、紙の上にインキをのせることに変わりはないものの、その中身は大きく変化しています。

 20年前はロール紙で大量印刷していればよかったのですが、今は新聞を読む人が減って、折り込みチラシの需要が減ってきています。また、カタログなどについても、小ロット化し、セグメントしながら印刷・配送するようになり、状況は大きく変わってきています。

 大量に刷ったものを納品すると、お客様が在庫を持て余してしまうので、SDGsの観点からも、少部数をこまめに発送するほうが、よっぽどマシなんですね。ただ印刷するのではなく、自動化できるところを見極めて効率化を図ると同時に、持続可能な状態を築くために投資をしていくことが大切だと考えています。