当社自身の取り組み事例を紹介しましょう。それは、顧客アンケートを活用しCRV・CLVを高める方法です。当社では、コンサルティングに入らせていただいたお客さまに「顧客アンケート」をお願いしています。回収率は45%~50%ぐらいで、その回答の内容により、紹介の推奨度を確認したり、CRVを上げられるようなものがないか見極めをしています。

 当社がBtoB企業1000社にアンケート調査を行ったところ、CSアンケートを定期、もしくは非定期で実施していると回答した企業は約75%に達しました。ところが、そこでどういう項目を聞いているのかを尋ねると、自社の商品・サービスへの満足度だけを聞いているケースがほとんどでした。関連商品への関心や知り合いの紹介以降などは聞いていません。

「紹介いただけますか?」と尋ね、紹介推奨度を把握することが大事です。その上で、単にサービス改善ではなく次の売り上げにつながるようなCLV、CRVのターゲット管理のため、あるいはアクション管理を行うのがいいでしょう。

アンケート結果を指数化し可視化する
「CSクラウド」を独自に立ち上げ

 大切なのは、どのお客さまが紹介につながるかを把握することです。比較のためにはアンケートの結果などから指数化し定量化する必要があります。顧客満足度がどれだけ高いのか、それからこの人がこの先どれぐらい収益拡大のオポチュニティを持っているのかどうかということを把握しつつ、自分たちの営業の力が、どこが弱くてどこを改善したいのかを整理していきます。

 縦軸にCS(顧客満足度)指数、横軸にOP(オポチュニティ)指数を取ると、もっとも行かなければならないアタックゾーンは、顧客満足度が高く、かつオポチュニティがありそうなことを回答してきた人です。

 一方で、オポチュニティはけっこう高いのに、CSが低いことによってなかなか口コミがバイラルされていない状況という人もいます。チャレンジゾーンです。この人に対してはCSの向上というアクションを打つべきです。

 CS指数がけっこう高いのだけれどOP指数は低いという人もいます。この人たちは出口がほとんどありません。継続してくれるけれどもオポチュニティはない。営業はとかくこのゾーンのお客さまに時間を使ってしまう傾向がありますので、どうやってアタックゾーン、チャレンジゾーンに時間を使うように変えるかがポイントです。

 私たちはお客さまの支援の中で、かなりアナログ、あるいは表計算ソフトの手作業でこれらを管理してきましたが、最近になって、アプリでこれらを自動的に表示する「CS(カスタマーサクセス)クラウド」を立ち上げました。まだテスト版ですが、本稼働すれば、多くのお客さまに便利に使っていけるようになると自負しています。

 さて、最初に「営業スタッフは必要ですか、それとも不要ですか」とお尋ねしました。私は、営業はますます今後必要になってくる、と認識しています。ではなぜ営業が必要ないという答えが出てくるのか。それは営業が陳腐化しているケースが圧倒的だからです。その理由はシンプルで、日本企業の営業はこれまでずっと、現在価値を最大化することを求められてきて、将来価値を高めるような動きは取れていなかったのです。

 日本企業がこれからさらに成長するためには、将来の売上に結び付くような新しい売り方の開発をするようなチーム、組織をつくっていくことが非常に重要です。

 その中でも今日お話しした紹介営業は、売り方開発の仕組みづくりとしては取り組みやすいものになります。「セグメンテーション(分類)」、「サティスファクション(満足度)」、「セールス(営業)」、「システム(仕組み)」、「CRV移行の重要性、CRVマインド」などの構築をしていきながら、仕組み作りに取り組んでいくのがいいのではないかと思います。

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