「デジタルイノベータ」に人材をトランスフォーム

 問題解決型人材(モード1)と探索型人材(モード2)が一緒になって、新しいサービスを生み出していくバイモーダルの時代に、富士通はどのような取り組みをしているのか。SIerは従来、企業の情報システム部門をパートナーとして受託型のビジネスをやってきました。DXの時代には、情報システム部門だけでなく、お客様企業の経営者、事業部門にも価値を提供できる存在にならないといけません。

デジタルビジネス時代の新たな接点|出典: ITR内山氏の資料をもとに作成
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そのために、われわれは1万4000人のSEに対して2015年に“SE4.0”というコンセプトを打ち出しました。「システムエンジニア」「ソリューションエンジニア」は従来からあるSE像で、新たに加わったのが、お客様からの受発注ではなくて、われわれの価値を対等な立場で提供させていただき、新しい価値を生み出す「シナジーエンジニア」と、富士通自身のシーズ、研究所のコアのテクノロジーをベースに、世界にサービスを打ち出していく「シードエンジニア」です。

 当時は、メディアを使って社内を啓蒙していました。「Digital Innovation Lab」「あしたのコミュニティーラボ」といった社内メディアを立ち上げ、探索型人材の発掘も行いました。併せて、お客様とイノベーションを共創する“場”も国内外に設置し、延べ3,000人を超える方々と0から1を生み出すプロセスを実践してきました。こうした取り組みの結果、会社としては人材育成という効果を、社員個人としてはモチベーションの向上という効果が得られたと思います。

 共創のさらなる加速に向けて、2017年には専門組織を発足。「Digital Journey~富士通は旅人と共に歩む」というスローガンも掲げました。デジタルジャーニーを支える人材、技術、場はそろいましたが、お客様との共創を通じて、富士通自身が新しいサービスを生み出していくところまでは達していません。これを実現する人材を増やしていく必要があります。

 そのために、従来の営業、コンサルタント、SEに代わる新たな職種「デジタルイノベーター」もつくりました。2017年度に180人からスタートし、教育・研修を行い、3年間で1,000人まで拡大していく予定です。引き続き課題解決型のビジネスをやりながら、成長領域の価値創造型のビジネスをやるために、社内の人材をデジタルイノベーターにトランスフォームして、アジャイル開発を進めていく方針です。

共創をプロデュースするデジタルイノベーターの役割
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