クラウド活用がもたらす
ファイルサーバー管理からの開放

Dropbox Japan 株式会社 ジャパンマーケティングリード 上原正太郎氏

※本コンテンツは、2018年10月17日に開催されたJBpress主催「Digital & Innovation Forum 2018 ~ デジタル変革によるイノベーションの実現~」での講演内容を採録したものです。

 180以上の国で利用され、5億人以上の登録ユーザーを獲得しているDropboxはこれまで、主にBtoC市場で支持を獲得してきましたが、設立から11年が経過し、上場も果たした今、法人向けビジネスでも活発に動いています。

 そんな中、日本の現状はどうかというと、経済産業省が発表した『DXレポート』にも記されているように、企業のIT投資不足が基幹システムの老朽化を招き、デジタル変革の波に乗り遅れるのではないか、との懸念も広がっています。

 一方、クラウドサービスの利用は進展し、総務省の『平成30年版 情報通信白書』によれば、何らかの形でクラウドを利用している企業は56.9%に達しています。また、クラウドサービス利用企業の労働生産性が、利用していない企業よりも約3割高いという調査結果も出ています。利用目的の第一位はファイル保管・データ共有。これがうまくいけば、生産性はさらに上がることになるわけですが、ここで問題となっているのが「ファイル共有3大苦」というもの。「最新版がどれか分からない」「欲しいときに見つからない」「会社に戻らないとアクセスできない」の3つです。

 Dropbox Businessは、この3大苦を解消できる機能と、コンシューマー向けDropbox同様の直感的な使いやすさを備えることで、急速に普及度を上げています。クラウド活用と併用することにより、社内のシステム担当者もNAS(ネットワーク接続ハードディスク)やファイルサーバーの管理業務から解放されますし、多様な部署の利用者からは慣れ親しんだDropboxのUI/UXでファイルを共有できるだけでなく、チームコラボレーションを向上させるツールとしてご支持をいただいているのです。

デジタル・デバイドがボトルネックに

 本日のテーマにもなっているように、多くの企業は今、より高度なITやデジタル技術を活用することで、新規事業の立ち上げや業務の変革を行おうとしています。反面、そうしたテクノロジー活用の潮流によって、技術知識の有無による格差、いわゆる「デジタル・デバイド」と呼ばれる溝が従業員間に発生し、経営層にとっては新たな課題になろうとしている部分もあります。

 外部機関や他企業との連携によるオープンイノベーションも加速する今、所属部門内のコミュニケーションだけでなく、部門横断の連携や遠隔地とのコラボレーション、外部パートナーとのやりとりが重要になっていますから、デジタル・デバイドによるコミュニケーション不足は、なんとしても解決しなければいけません。

 Dropbox Businessの普及が進んでいる背景には、以上のような要素が大きく絡んでいるのです。今日はここでいくつか実例を見ていただきますが、Dropbox Businessは情報共有を容易にするばかりでなく、同一画面上でリアルタイムのコミュニケーションも可能にするコラボレーションアプリとしての機能を備えています。そのため、異なる多様な任務を同時進行することが求められる大規模建設プロジェクトの現場などでも、各メンバーはタブレット端末などでコラボレーションを実行できるようになりました。

できることから始めるイノベーション

 マッキンゼーが発表した調査結果によれば、ビジネスパーソンが仕事で費やす時間の61%は「仕事のための準備・調整作業」に充てられています。本来の仕事に集中できている時間は、全体の39%にしかすぎないということ。「仕事のための準備・調整作業」の中には、日々のメールのやりとりも含まれます。モバイルの活用やデザインシンキング重視の今、例えば画像を共有しようと思っても、旧来の電子メールではいろいろと手間がかかりますが、Dropboxならばそれも瞬時にできてしまいます。多種多様な画像やファイルを同一画面で簡単に共有しつつ、同時に文字によるコミュニケーションも進めていける。われわれはこれを「デジタルワイガヤ」と呼んでいます。

 煩雑な手間を取り除き、堅苦しい社交辞令を抜きにしてワイワイガヤガヤと言葉をやりとりすることで、コラボレーションの質は上がり、本来の仕事に集中できる時間は増え、直感的なUI/UXがデジタル・デバイドも解消してくれる。だからこそDropbox Businessはここまで広がったのだと自負しています。

Dropbox Paper 使用画面

 働き方改革もデジタル変革も、重大なミッションだとは思いますが、私たちは「まずやれるところから」というメッセージを発信しています。いちいち学ばなくても、誰もが直感的に使っていけるコラボレーションアプリを用いることで、改革や変革は確実に進行していきます。今後も皆さんのデジタルワイガヤを支援していくことで、新たな時代の飛躍のお役に立ちたいと思っています。

 イノベーションは、世界を変えるようなデバイスやサービスを日々生み出すことを考えることだけではなく、小さな改善をワイガヤで重ねていき、その小さな改善をつなぎ合わせて振り返ってみる。それも立派なイノベーションではないのでしょうか。