欧米と同じ道筋では
日本にイノベーションは起こせない
※本コンテンツは、2018年10月17日に開催されたJBpress主催「Digital & Innovation Forum 2018 ~ デジタル変革によるイノベーションの実現~」での講演内容を採録したものです。
最初に、思い起こすたびに胸が痛くなるような事実を、あえて共有したいと思います。1989年、世界時価総額ランキングのトップ50社のうち32社が日本企業でした。そこから約30年が経ち、同ランキングのトップ50社に入っている日本企業はトヨタ自動車1社のみになってしまいました。労働生産性はOECD加盟35ヵ国中、日本は20位です(2015年現在)。次世代を担うスタートアップ企業やユニコーン企業も育っておらず、ユニコーン企業の世界ランキングのトップ10社は全て米国と中国の企業によって占められている状況です。この状況を踏まえ、世界で日本がもう一度輝きを取り戻すためには、大企業がイノベーションの先導役を担っていくしかありません。
では、日本の大企業が至上命題として取り組んでいるデジタル変革で成功するためには、どうすればよいでしょうか? その答えは「新規事業開発」、「既存事業におけるビジネスモデル改革」、「超効率経営」の3つであると考えます。
われわれレイヤーズ・コンサルティングは、クライアント企業のさまざまな課題に対し、共に向き合っていますが、私の認識が間違っていなければ、多くの企業では「超効率経営」ばかりに注力しています。RPA(Robotic Process Automation)だけを導入し、デジタル変革を実現したという企業が見受けられます。超効率的な経営を達成するのもデジタル変革ではありますが、「新規事業開発」「既存事業におけるビジネスモデル改革」が伴わなければ本当の意味でのイノベーション実現には至らないでしょう。
では、デジタル変革による新規事業開発を成功させるには何が必要なのでしょうか? われわれは「スーパーダイバーシティ」、「デザインシンキング」、「脱城下町」、「企業風土の変革」の4つが必要であると考えます。