「脱中国」へ日本に期待される役割

 19日、私がアウキを発つ直前、運よく、勝利を収めたスイダニ氏と再会することができた。フライトの時間が迫っており、ほんの一言「知事への復活おめでとう」と祝意を伝えるだけしかできなかったが、「今回の選挙で州議席を取り戻すことができた。州議のほかのメンバーと一緒にマライタをもっとよくしていくよ。選挙で約束したことをしっかりやっていく。本当にハッピーだ。日本の支援にも感謝したい」と喜びにあふれていた。

日本の援助が使われた港(写真:筆者撮影)

 半年前、日本を訪問したときは、祖国に帰れば逮捕もありうると危ぶまれたスイダニ氏だが、鉄の意志と勇気で知事の座を取り戻すことができそうだ。さすが、ソガバレ首相が最も恐れているとささやかれる男である。

日本で使われていたとみられる船が運行していた(写真:筆者撮影)

 今後政権の交代があってもなくても、マライタは中国に頼らない発展を模索するだろう。その時は南太平洋に対する中国の影響力に歯止めをかける意味でも、日本に期待される役割は小さくない。

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福島 香織(ふくしま・かおり):ジャーナリスト
大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。主な著書に『なぜ中国は台湾を併合できないのか』(PHP研究所、2023)、『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房、2023)など。