対立の背景にある経済格差と移民問題

 マシュー・ワレ、ケニロリア・ジュニア、セルサス・タリフィルともにマライタ州の選挙区から出馬している。親中派と親米・親台湾派の対立は、最も経済発展が進む首都ホニアラがあるガダルカナル州と、最大人口を擁し出稼ぎ労働者としてホニアラの発展を底辺で支える貧しいマライタ州の対立とも重なっている。

 経済格差や移民問題も絡むガダルカナルとマライタの民族紛争は90年代に激化。軍隊を持たないソロモン諸島自身ではこの対立は解決できず、オーストラリア、ニュージーランドを中心とした多国籍の平和維持部隊(RAMSI、ソロモン諸島支援ミッション)の干渉によって、なんとか収束させた。

(写真:筆者撮影)

 この紛争で両民族が被った損失の賠償は、当時国交を結んでいた台湾によって賄われた。スイダニ氏ら台湾派の政治家たちが台湾との関係維持にこだわるのは、台湾に対する恩義を忘れない、という考えもあるという。

 こうした民族問題の背景に加え、中国企業による資源収奪にみえるような開発のやり方や、地元民や地元文化に対するリスペクトの無さが、マライタ人、あるいはおおくの庶民の反中感情の原因ともいえる。