先回(「
土石流の通り道が一目瞭然の赤い地図と三宅島噴火の意外な関係」)、アジア航測が朝日航洋と共同で7月6日に航空機から撮影した熱海市伊豆山エリアの土石流現場写真を紹介したが、災害現場の「赤色立体地図」も公開している。右が海岸線。(写真・アジア航測、2021年7月6日計測・赤色立体地図)
(上)国土地理院が公開した土石流の原点である「盛り土」崩壊の様子の画像。(下)同じ場所の過去の「赤色立体地図」を拡大。盛り土が階段状に続いていることが浮かび上がっており、どのように「盛り土」による土地造成をしたのかがうかがえる。左は災害の一因ではと論じられているメガソーラー(大規模太陽光発電施設)。施設業者は「水は盛り土とは反対側に流れているので問題ない」と発言しているようだが、広範囲に樹木が皆伐されていることがわかる。(写真・国土地理院)
千葉さんは1956年宮城県石巻市生まれの地質学者であり火山学者で、防災分野にも精通。1975年日本大学文理学部応用地学科入学、1979年同理工学研究科入学し地理学も学び、同大学応用地学科副手を経て1989年にアジア航測に入社した。(撮影:山根一眞)
「富士山青木ケ原」をGoogle Earthで検索した結果の画像
赤色立体地図による青木ケ原の詳細地形図。(出典:千葉達朗他「富士山青木ヶ原における貞観溶岩流の計測~航空レーザ計測と赤色立体地図による詳細地形調査とボーリング調査~」砂防学会誌、Vol.63、No.1、2010年)
拡大画像表示
赤色立体画像の作成プロセス。(アジア航測、千葉達朗さん提供の資料をもとに山根一眞が作図構成)
「航空機レーザ測量(Airbone-LiDAR)」のイメージ。アジア航測は地形データ取得のため航空機を5機保有しているが、地形の詳細計測には「航空レーザ測量」が用いられる。これは、高度1000mを移動する航空機から地上にレーザを照射し反射して戻ってくる往復時間から地盤の立体像を得る技術だ。高さの精度はおよそ±20cmである。(図:アジア航測、千葉達朗さん提供資料を一部改変)
航空機レーザ測量ではレーザが樹木の隙間を通り抜けて地面に反射するので森林地帯でも地形データが得られる。(図版提供・千葉達朗さん)