生活習慣病の予防にも、いま見直されるミカンの実力 柑橘類の摂取と身体への作用(後篇) 2019.5.24(金) 漆原 次郎 フォロー フォロー中 健康 食 シェア2 Tweet この写真の記事へ戻る 私たちが普段「ミカン」とよんでいる種なしの柑橘類は「温州(ウンシュウ)ミカン」といい、日本原産とされる。ミカン摂取の体への作用が、国内での栄養疫学研究で明らかになっている。 杉浦実(すぎうら・みのる)氏。同志社女子大学生活科学部食物栄養学科食品機能学研究室教授。薬学博士。1990年、京都工芸繊維大学大学院繊維学研究科修士課程修了。民間企業で天然物からの生理活性物質の探索研究に従事。1999年、農林水産省に入省、果樹試験場カンキツ部研究員。改組を経て、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)果樹茶業研究部門カンキツ研究領域カンキツ流通利用・機能性ユニット長に。静岡県引佐郡三ケ日町(現浜松市北区三ヶ日町)において2003年度から10年間にわたり実施した栄養疫学研究「三ヶ日町研究」を主導。2018年4月より現職。現在は、食品が有する生体調節機能の解明などをテーマに研究と教育を行う。 血中β-クリプトキサンチンレベル別にみた、4年間の骨粗しょう症発症リスク。血中のβ-クリプトキサンチン濃度で調査対象者たちを3グループに分け、上位3分の1を「高」、中位3分の1を「中」、下位3分の1を「低」のグループとした。「低」グループでの発症リスクを1とした場合のリスクの比率を示す(以下も同様)。 (Sugiura et al. PLOS ONE 2012; 7(12): e52643をもとに筆者作成) 拡大画像表示 各種疾病の発症リスクと血中β-クリプトキサンチンのレベルの関係。肝機能異常症(左)、2型糖尿病(中)、動脈硬化症(左)のいずれでも、血中β-クリプトキサンチンが「高」レベルのグループの発症リスクは低かった。 (Sugiura et al. The British Journal of Nutrition 2016; 115(8): 1462-1469/Sugiura et al. BMJ Open Diabetes Research & Care 2015; 3:e000147/Nakamura et al. Nutrition, metabolism & cardiovascular disease 2016; 26(9): 808-814 をもとに筆者作成をもとに筆者作成) 拡大画像表示 「JAみっかび」(三ヶ日町農協)から出荷される「三ヶ日みかん」は、2015年に機能性表示食品としての届け出が受理された。「骨の健康に役立つβ-クリプトキサンチンが含まれています」と表示されている。(写真提供:三ヶ日町農協) 国内で収穫される中晩柑類のひとつ「せとか」。