攻守に欠かせない存在・高橋藍
石川と同じくイタリア・セリエアでこの2シーズンを過ごしてきた高橋藍の存在も見逃すわけにはいかない。
東京オリンピックにはチーム最年少の19歳で出場したが、ベスト8で敗退した結果が転機となった。
「東京オリンピックが終わってから悔しくて、自分自身が強くなりたいという思いで、いろいろな挑戦をしてきました」
その挑戦の1つがイタリア行きだった。当初は守備の部分で期待されて起用されることが多かったが、2シーズン目にはアウトサイドヒッターとしてスパイクの役割も任されるようになった。高橋は188cmと、このポジションでは小柄だが、筋力トレーニングを積んでジャンプ力をつけ、ブロックにあてて弾くなどスパイクの引き出しを増やしていったことで信頼を得ていった。
その成果は日本代表でもいかされた。攻守に欠かせない存在となっていった。
今年1月、試合中に左足首を捻挫、靭帯を1つ切るほどの怪我を負い、日本代表合流後に再発したのが不安材料だが、「いい形で回復してきていると思います」と順調であると語っている。
監督からの信頼も厚い司令塔
現在の日本代表の強さは、石川や高橋など特定の選手にとどまらず、優れた選手たちがそろっている点にある。
その中で、もう1人紹介したいのはセッターの関田誠大だ。身長は175cm、大会の出場国のセッターの中でもひときわ小柄だが、それを不利としない技量を誇る。
石川や高橋に加え、ミドルブロッカー陣の充実などもあって現在の日本の攻撃の幅は広がっているが、多様な攻撃を可能にしているのも司令塔である関田の存在あればこそ。サーブレシーブが乱れたときでも単純にレフトに上げるのではなく、巧みな体さばきからさまざまなトスを上げる。むろん、トスそのものの精度も高い。
フィリップ・ブラン監督からの信頼は厚く、司令塔たる自覚もある。
「ブラン監督からは『コンビネーションを合わせろ』と言われていて、そのために自分から話しかけにいったりしてコミュニケーションを大事にしています」
ネーションズリーグ銀メダルを受けて、目標を金メダルに上方修正した男子日本代表。彼らをはじめ、チーム一丸となって、大舞台を見据える。