岩佐又兵衛が描く動物も必見
展覧会では、ほかにも見逃せない作品が多数。古今和歌集の一首が小さな色紙に散らし書きされた、伝 飛鳥井雅経作《和歌色紙》は表具に注目。カラフルな花鳥が表されており、この仕立ては後西天皇の好みとのこと。
岩佐又兵衛《小栗判官絵巻》は、又兵衛とその工房で制作された“古浄瑠璃絵巻群”の一つで、主人公小栗と照手姫の恋愛物語が色彩鮮やかに展開されている。又兵衛ならではの躍動感ある構図と人々の豊かな表情が見もの。武士が連れた犬や鷹も、いい顔してる。
海外から皇室に贈られた品々
こうした日本の美術品に加えて、本展にはもうひとつ楽しみがある。皇室は公務を通してさまざまな国と交流があり、各国からその国の伝統工芸品や国を代表する作家の作品が贈られてきた。その中から“いきもの”が表された品々を厳選して公開する。
写実的な魚の彫刻が美しい《熱帯魚文ガラス花瓶》はスウェーデン国王より贈られたもの。ベルギー国王・王妃からは4羽の鳥がデザインされたレース額《歌う鳥》(前期)。白ネコとカマキリが向かい合う様子を絹糸の刺繍で表した《猫と蟷螂図置物》(後期)は愛新覚羅溥傑より贈られたものだという。
多彩な品々が並ぶ中で、強烈なインパクトを放っていたのが《トカゲ型カトラリーレスト》。アフリカのダホメ共和国(現在のベナン共和国)から贈られたもので、造形はなんともリアルで精巧。トカゲの顔つきや鱗の表現も細かい。これを食器置きに使うのはちょっと…と思う気持ちもあるが、ダホメ共和国ではそれだけ日常的で親しみのある生き物だったのだろう。