日本刀の基本をわかりやすく解説
「超・日本刀入門 revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ」は、初心者が基礎の基礎を学ぶのに最適な内容。「変なクセを付けないためにも、初心者こそいい道具を使うべき」といわれるが、まさにその通り。展示されている日本刀は静嘉堂が所蔵する117振の中から、日本刀の黄金期といわれる鎌倉時代の名刀を中心に厳選された23振。国宝・重要文化財も多数含まれている。最初は「形に無駄がなくて、なんかカッコいいよな」で構わない。23振の中から、感覚優先で気になる刀を探してみたい。
展覧会では難解な専門用語も詳しく解説されている。直刀、太刀、刀(打刀)、脇指(脇差)、短刀、剣、薙刀、槍の大きく8つに分類される刀の種類。鋩子(帽子)、切先、鎬筋、反り、棟区、身幅など刀の部位を表す言葉。五の目、皆焼、湾、丁字、簾刃といった刃文(刀身の白い波のように見える模様)の種類。こうした用語を最初に覚える必要はないが、少しずつ覚えていくことで刀剣を見る楽しみが広がっていく。刀剣の世界に限ったことではないが、難解な言葉を知って「わかった気になる」ことも、趣味を深めていく大切なポイントだ。
そして日本刀に秘められたエピソード。「あの武将が使っていた」「あの武将が家臣に贈った」といった逸話を知れば、ぐんと親しみが湧いてくる。重要文化財の古備前高綱《太刀 銘 髙綱》は織田信長の重臣であった滝川一益が東国下向の際に信長から拝領したと伝わる名刀。身幅が広く平肉が豊かについた姿がなんとも力強い。鮮やかな朱鞘の打刀拵が付随しており、これは信長の好みだという。
後家兼光が出品、『刀剣乱舞ONLINE』とのコラボも
備前長船派の刀工・兼光作と伝わる名刀《刀 大磨上げ無銘(号 後家兼光)》は、『刀剣乱舞ONLINE』のキャラクターのモチーフになっている。上杉景勝の重臣だった直江兼続の愛刀で、太閤・豊臣秀吉の遺物として賜ったもの。兼続の死後、その妻・お船の方より主家の米沢藩主・上杉家に献上され、そうした経緯から「後家兼光」の名で知られるようになった。
この展覧会では、『刀剣乱舞ONLINE』とのコラボとして、会場に後家兼光の等身大パネルが登場、記念撮影が可能だ。
ゲームとのつながりを通じ、新たな客層を呼び込んだ刀剣の世界。まだ触れていない方もこの機会に訪れるのはいかがだろう。