東北地方に伝わる幻の“花酛”を復活
日本の唐花草は、ビールに使われるホップと同じで抗菌作用があり、雑菌の侵入を防いで健全な発酵を促す効果があると期待されている。そのため、身近な山で唐花草が採れる東北地方では、昔から家庭でのどぶろく造りに唐花草が利用されていたようだ。しかし、明治時代に自家醸造が禁止されると、唐花草を使った“花酛”と呼ばれるどぶろく製法も衰退してしまう。
佐藤さんは、全国各地に伝わるどぶろく造りを集めた名著『諸国ドブロク宝典』(農山漁村文化協会)で、この唐花草の花酛を知る。
「花酛は伝統的な製法でありながら、現代の感覚だとビールと日本酒の掛け合わせのような新しいイメージ。その存在を知ったときには、めちゃめちゃロマンを感じました。花酛の技術を取り入れれば、古さと新しさを備えた僕らの酒ができると確信しました」
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「水を編む」(500ml)シリーズの年間製造量は約3500本。年3回リリース予定。ラベルが二重になっていて、表面の1枚をはがすと詩人・菅原敏の詩が隠されている
3年で3つの醸造場に。今後、ベルギー展開も
事業展開のスピードも凄い。2023年7月には、2つ目の拠点となる「haccoba 浪江醸造所」を福島県浪江町に設立。さらに2024年2月には、無人駅の小高駅舎内に「haccoba小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET」がオープンした。
今後はベルギーにも新たに醸造所を立ち上げる計画が進んでいる。
「世界では清酒はすべてSAKEとされ、日本における清酒の定義はほぼ意味をもちません。僕らは海外展開を視野に入れて創業したので、世界で通用するCraft Sake Breweryという言葉を正式名称として入れました」
若き醸造家たちが軽やかに生み出す、伝統を超えたSAKE文化。躍動感あふれる新しい日本の酒の歴史が始まっている。
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「水を編む-あいアグリ太田-」は、白麹を使用することで、柑橘類のような爽やかな酸味を表現。グリーンサラダなどフレッシュな料理との相性が抜群!
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「はなうたホップス」は、花酛とビールの技法ドライホップをかけ合わせ、米のクリアな甘みとホップの爽やかな香りを表現