未踏の新・山廃ワールドへ、いざ

「吉田蔵u」シリーズは、生酒はもちろん、火入れタイプのものもシュワッとした心地よい泡を含む。この発酵由来のナチュラルな泡を逃がさないためには、搾りから瓶詰めまで徹底した温度管理、そして迅速な瓶詰めが肝心。また、通常、このような炭酸ガスが残っているお酒は火入れが難しく、瓶が割れてしまう可能性がある。

 そこで導入したのが、特殊な火入れ装置の「ヒートリード」。半自動で湯せん方式の繊細な火入れを行ってくれる優れもので、この装置の導入により生酒に近い味わいの火入れのお酒を出せるようになった。

 さらに重要なのは炭酸ガス(泡)を含んでいるおかげで、酸化しづらく、低温の環境なら長期貯蔵してもフレッシュな味わいを維持できること、と泰之さんは続ける。

「日本酒はワインと違い酸化防止剤が使われず、お酒自体に酸素がたくさん含まれてるため、長期熟成が難しいという面があります。そのため、現在は最高の状態を保つために氷点下貯蔵の日本酒の冷蔵庫も増えています。しかし、炭酸ガス=二酸化炭素を閉じ込めることで酸化を防ぐことが可能で、火入れのお酒なら15度のワインセラーでじゅうぶんフレッシュな酒質を保てます」

吉田酒造店の根幹にあるのは「持続可能な酒造り」。田んぼにソーラーパネルを設置し、米づくりをしながらの太陽光発電にも取り組む

 現在、いつでもおいしい日本酒を最高の状態で楽しめるのは、テクノロジーと電力のおかげだ。しかし、いま一度、そんな日本酒の在り方を考えたいと泰之さんは話す。

「吉田蔵u」シリーズは長期貯蔵によって、うまみに厚みが増し、高級な白ワインにも似たまるい熟成感が表現される可能性がある。自宅のワインセラーでヴィンテージを育てるのも楽しそうだ。

石川県の酒米「石川門」を使用。ピンク色のラベルの生酒は1~3月発売。4月以降は白色のラベルの火入れタイプになるが、どちらも酒質はほぼ変わらず、炭酸ガスが閉じ込められている。石川県の酒米「百万石乃白」を使ったバージョンも

 

「能登の酒を止めるな! 被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト」

 2024年1月1日に令和6年能登半島地震が発生し、石川県能登地方を中心に甚大な被害がもたらされました。能登半島の酒蔵は多くが半壊・全壊し、向こう数年酒造りが困難な状況です。このプロジェクトでは全国の蔵とともに共同で酒造りを行い、酒屋さんを通じて被災蔵の銘柄を市場に流通させ、被災蔵に売上を通じたお金の循環が生まれ続ける仕組みを作ります。皆様のご支援をお願い申し上げます。
(被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクトリーダー・吉田泰之)

https://www.makuake.com/project/noto_sake1/