沿線の名所は2つの橋梁

 沿線の見どころは楚原~麻生田間にある2つの橋梁。乗車しているとどのような橋なのかが分からないので、楚原駅で下車して是非訪ねてみよう。歩くこと15分ほどで、最初のスポット「ねじり橋」にたどり着く。

 この橋の特徴は、その名の通り橋がねじれていることだ。理由は橋と用水が斜めに交差しているために、アーチ橋の下部のブロックがひねりを入れて積まれているからである。

 もう一つの橋は、すぐ先にある「めがね橋」。3連式のアーチが美しいコンクリートブロック製で、「ねじり橋」ともに2009年度の土木学会選奨土木遺産に選出された価値ある橋梁だ。

「ねじりまんぼ」という構造の「ねじり橋」。国内に現存するコンクリートブロック橋では唯一と言われている

 ちなみに北勢線を走っている車両は黄色い車体の下にオレンジのラインが入り、270系と呼ばれている。しかし1編成だけ、クリームと緑のツートンの車両も走っている。こちらは200系で、北勢線開業100周年を記念して、路線が三重交通時代だった頃の塗装に復活している。

 その200系だが、もし目にしたなら車両の連結部分に注目しよう。通常の連結部というのは連結器で車両同士をつなげているが、この車両は連結器を持たずに台車で車両と車両を連結しているのだ。

200系の連結部。桑名側の3両が連接台車だ


 連接台車と言えば小田急電鉄のロマンスカーが有名だったが、現在では江ノ島電鉄や広島電鉄などの路面電車の一部で活躍しており、ナローゲージでみられるのはもちろんこの200系のみである。

 最後に再び線路幅の話。西桑名駅の南側にある西桑名第2号踏切は北勢線(762mm)、JR関西本線(1,067mm)、近鉄名古屋線(1,435mm)と、日本で唯一3種類の幅の線路がそろっている。

線路幅の違いは踏切の南にある跨線橋からも眺めることができる

 もし北勢線を訪れた際にはこちらの踏切を渡って、それぞれの幅の違いを自身の足で体験してみよう。

終点阿下喜駅そばにある軽便鉄道博物館には、北勢鉄道時代に走っていたモニ226が保存されている ※博物館は毎月第1・第3日曜日10~16時開館