日本酒に残された未踏の分野、樽の可能性にチャレンジ

 店に入ると、京都のお店から譲り受けたという朱塗りのお膳がずらりと並んでいた。奥には日本酒の樽が3つ、デンと構えていてなかなかのインパクト。しかも中央はこの店のオリジナルの樽のようで、気になる、気になる。

しっとりした空気感が漂う蔵の中

 大橋さんが樽酒に開眼(?)したきっかけもまた面白い。ワイナリーで働き始め、シャルドネなどのすっきりした品種が樽でふくいくたる味わいになるのを知って、樽の効果に着目するようになったのだという。さらに樽酒を扱うようになってからは、空いた樽を活用することも思いついた。酒蔵から樽酒を卸してもらうだけでなく、樽に様々な酒を入れて寝かせ、オリジナルの樽酒を味わってもらおうというのだ。

朱塗りの小さなお膳は、茶漬け膳というのだと、弓惠さんが教えてくれた

 日本酒は、地元西陣の蔵元・佐々木酒造を必ず置いているそうで、あとはオリジナルの樽とその時によってもう1種類。オリジナルの樽に入れる日本酒も、吟醸系にしたり、生酛にしたりとタイプの違う酒を試すことで、樽が酒に及ぼす効果を知ろうという試みをしている。

「ちょっとした実験です」と大橋さんは笑う。