各作品に隠された「秘密」を探り出す

黒田清輝《湖畔》1897年(明治30)東京国立博物館蔵 展示期間:4/11〜5/14

 展覧会では51件の重要文化財を「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸」の4ジャンルに分けて展示。ただ作品を並べるだけでなく、各作品がどうして重要文化財に指定されたのか、指定の舞台裏にはどんなエピソードがあったのかなど、知られざる「秘密」も合わせて紹介されている。

 たとえば、日本近代洋画家の巨匠・黒田清輝の《湖畔》。箱根・芦ノ湖畔に佇む黒田夫人の姿を描いた涼やかな作品で、美術の教科書などでもおなじみの誰もが知る名作だ。だが、長く重要文化財になることはなく、指定されたのは1999年とごく最近のことだという。

「黒田作品では《舞子》という作品が1968年に重文指定されていますが、《湖畔》はその時も候補になりながら選から漏れてしまった。その理由は、1968年の選定基準では西洋的であることが重視されたため。だから、印象派的な表現が使われた《舞子》が選ばれ、日本画的な《湖畔》は落ちてしまった。作品の評価は時代によって変わる。そうした作品の秘密に興味をもって鑑賞していただければうれしいですね」(大谷さん)