文=中野香織

マリー・ローランサン《ばらの女》1930年 油彩/キャンヴァス マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin

ローランサンの作品と資料90点で構成

 今年、生誕140年を迎える画家のマリー・ローランサンと、彼女が活躍した1910年代から30年代のパリ・モードとの関係に焦点を当てる展覧会が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開幕した。

セシル・ビートン 《お気に入りのドレスでポーズをとるローランサン》1928年頃 マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin

 両大戦間のパリでは、多様な芸術が交差し、自由で新しい文化が沸騰していた。モードの世界もめまぐるしく変化した。1910年代にはポール・ポワレが女性のコルセットを外し(とはいえ、足はホブル・スカートで拘束したが)、1920年代にはココ・シャネルがリトル・ブラック・ドレスを筆頭に活動的な女性のための斬新なモードを続々と発表した。

 不況に入る1930年代には保守的なシルエットに回帰する一方、エルザ・スキャパレッリのシュールレアルで現実逃避型のモードも人気を博した。30年の間に劇的な変遷を経ている。

 展覧会は、時代を牽引するモードと芸術が交差するパリで才能を発揮し、時代を象徴する女性として成功したローランサンの作品と、関連するモードや舞台芸術などの資料90点で構成される。展示構成は、「第一章 狂騒の時代(レザネ・フォル)のパリ」、「第二章 越境するアート」、「第三章 モダンガールの登場」、「エピローグ 甦るモード」の4部である。