白馬の強みと課題

遠くに村の風景が広がる

 白馬の立地も強みを感じた。

「移動時間が4、5時間くらいの距離に、1000万、2000万の人口圏が東京、名古屋、大阪と3つあるわけです」

 一方で、課題も感じた。

「すでに外国人の観光客も増えつつはあったんですけれど、日本人のビジネスがそんなによくなっているようなイメージがない。それにこんなにすごいところなのに、元気じゃないように感じられる人も多いように思いました」

 魅力を感じつつ、だからそれをいかしきれていないようにも映った。白馬に移り住んだ原動力の1つである。

 長年の思いを土台に、岩岳を成功に導いた。農林水産省、コンサルティング会社の経験はそこにいきているのだろうか。

 和田はこのように答えた。

「むしろ、同じ目線を一緒に向けられるかどうかみたいな話のような気がします。けど、僕の場合、特に仲良くさせてもらっているスタッフが何人もいます。それこそ4人でバーベキューやりながら、『おい、どうする? このままならつぶれるぜ』みたいな話をしながら、議論でもなんでもなく雑談の中からアイデアが出てきたりする。いろいろな人と一緒にできるかどうか、チームがあるかどうかだと思います」

ただ課題はまだ感じている。そしてそこには岩岳にとどまらない問題も含まれている。(続く)

 

和田寛(わだゆたか)
白馬岩岳マウンテンリゾート代表。1976年生まれ。東京大学法学部を卒業後、農林水産省、ベイン・アンド・カンパニーを経て2014年、白馬で働き始める。白馬岩岳マウンテンリゾートの経営者として改革に取り組み、グリーンシーズンの来場者数がスノーシーズンを上回るなどして収益を大きく改善する。11月11日に『スキー場は夏に儲けろ! 誰も気づいていない「逆転ヒット」の法則』(東洋経済新報社)を刊行。