本コンテンツは、2022年11月15日(火)に開催されたJBpress主催「第7回 ものづくりイノベーション」のセッション「製造業におけるダイナミック・ケイパビリティの強化(基幹システムの最適化と拡張によるSCM/ECM統合モデルの実現)」の内容を採録したものです。
株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ
EA&PS事業部 EA統括部
シニアソリューションアーキテクト
北川 浩美 氏
SAP製品の導入に強みを持つNTTデータ グローバルソリューションズ
本日は製造業におけるダイナミック・ケイパビリティの強化、基幹システムの最適化と拡張によるSCM/ECM統合モデルの実現をテーマにお話しさせていただきます。
当社、NTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータ GSL)はNTTデータのSAP専業グループ会社として、NTTデータグループにおける長年にわたる企業システムの経験の中から、SAP事業を集約し、2012年に設立されました。 SAPのコア製品を軸としながら、SAP製品以外も含む、周辺システムやECOシステムの導入も手掛けています。
基幹業務システム(ERPパッケージ)は、堅固かつ完成された仕組みであり、カスタマイズは最小化され、シンプル化されています。一方、企業全体のプロセスにおいては、その業務に特化した仕組み、または、柔軟性がある仕組み(周辺システム)を導入し拡張することで、より効果的なシステムの全体最適が可能です。周辺システムまで含めた基幹システムの構想策定から導入までをご支援するのが当社のERPビジネスの取り組みです。
製造業に求められるダイナミック・ケイパビリティの強化
今日は、ダイナミック・ケイパビリティの強化について話をします。
経済産業省の2021年度版「ものづくり白書」では、「デジタル領域の取り組み―DXの取組深化―」が必要だと指摘しています。また、「デジタル技術活用による生産プロセス革新に向けた取り組み」として、市場のニーズに応じて迅速に新製品を設計・開発する、エンジニアリングチェーンの機能強化が競争力の源泉になるとしています。
さらに2022年度版の「ものづくり白書」では、企業の競争力を向上するためのデジタル技術「ダイナミック・ケイパビリティの強化」が必要であると指摘しています。
上の図ではMES、製造実行との連携を例にして説明されていますが、われわれはMESだけではなく、例えばPLM(製品ライフサイクル管理)やWMS(倉庫管理システム)というように、基幹システムと周辺システムを密に連携して精緻な実績をフィードバックすることで、全体最適が図れるのではないかと考えています。
ダイナミック・ケイパビリティは、米カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド・J・ティース氏によって提唱された戦略経営論で、2020年度版「ものづくり白書」においては「環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力」と説明しています。
ダイナミック・ケイパビリティには3つの要素があると言われています。1つ目は「Sensing(感知)」で、顧客ニーズの変化や競合他社の動向といったビジネス環境を観察・分析して、生じそうな脅威・機会を察知する能力です。2つ目は「Seizing(捕捉)」で、企業が保有している既存の資源・知識を応用し、再利用する能力、3つ目は「Transforming(変革)」で、社内に存在する多種多様な資産を、再構築・再構成する能力です。
当社は、基幹システムの最適化と拡張によって、このダイナミック・ケイパビリティの3つの要素の強化を実現できると考えています。