一度は見るべき茶碗、国宝《曜変天目》
クライマックスは、第4章「国宝《曜変天目》を伝えゆく―岩﨑小彌太の審美眼」。国宝《曜変天目(稲葉天目)》は、「完形品は世界に三碗しかない」と語られる名品中の名品。曜変とは“偶然の所産”を意味し、天目とは黒釉茶碗のことを指す。茶碗の内面に宇宙の星のようなきらめきがどのようにして生まれたのかは、いまだに解明されていない。
この《曜変天目(稲葉天目)》の神秘的な輝きを、余すところなく見せてくれる展示ケースがまた素晴らしい。反射を防ぐガラスが用いられ、ケースに周囲の景色がほとんど映り込まない。《曜変天目(稲葉天目)》の魅力がダイレクトに伝わってくる。
会期は前後期に分かれており、11月6日までが前期、11月10日~12月18日は後期となる。作品の大部分が入れ替わる後期も、絶対に見に行くつもりだ。丸の内に移転し、足を運びやすくなって、本当によかった。