文=山口 謠司 取材協力=春燈社(小西眞由美)

写真=フォトライブラリー

定型ではなく素直な言葉でお礼を伝える

 おいしい食事をご馳走になったときは、翌日にはお礼の電話やメールをするようにします。その場合、

「昨夜は御馳走さまでした。とてもおいしかったです」

 という決まりきった言葉ではなく、たとえば

「どのお料理もとてもおいしかったので嬉しくなり、ずっと頬が緩みっぱなしでした」

「家族(友人)に食べたお料理のことを話したら、とても羨ましがられて鼻が高かったです。ありがとうございました」

 などと、素直に気持ちを表現します。

 こんな言葉を言われたほうも思わず頬が緩み、鼻が高くなるのではないでしょうか?

 

おいしいと感じたことを具体的に伝える

 ご馳走になったお礼で大事なのは、何がどうおいしかったのかを具体的に伝えることです。

「お肉がジューシーで絶品でした。酸味のあるソースもお肉にぴったりで驚きました」

「あんなに脂ののったおいしい鰻、はじめて食べました。母が鰻が大好きなので、今度ぜひ連れて行きたいと思います」

「四川料理は辛いと思って苦手意識がありました。でもいただいた麻婆豆腐は山椒が効いていましたが辛すぎず、とてもうまみが濃くてお箸が進んでしまいました」

 など、いちばん心に残った特徴をあげて、おいしいと感じたことを伝えましょう。

 また、辛いという味を表現するにしてもわさびの辛さ、山椒の辛さ、唐辛子の辛さなどいろいろな辛さがあります。同じように甘い、苦い、酸っぱい、塩(しょ)っぱいという味覚もそれぞれにいろいろあります。

 言葉の感性同様に味覚の感性も日頃から磨くようにしてください。そして具体的に豊かな表現ができるようになることをめざしましょう。

 文豪の文章やグルメ記事の表現から気に入った表現をメモするなどして、食べ物に関する語彙を増やします。

 おいしさを共有できる、そしてそれを表現できる人として、きっと相手もあなたをまた食事に誘いたくなることは、間違いないと思います。