ほかにもある! お城と鉄道のコラボレーション

 お城も鉄道も楽しみたいという方のために、ほかにもいくつかおすすめスポットをご紹介します。

 

●犬山城(愛知県)

 まずは、私が城好きになるきっかけとなった国宝・犬山城。室町時代の後期に築かれ、現存最古と言われる天守は3重4階地下2階の望楼型です。この天守が私にはおじさんの顔に見えて、なんだか可愛いんですよね(笑)。木曽川に面した断崖の上に建っていて、背面から攻め入ることが難しい「後堅固(うしろけんご)」のお城としても有名です。

犬山城の天守は華頭窓(かとうまど)が目に、唐破風がおヒゲに見えて、可愛いおじさん風

 崖の上にあるので、天守の最上階からの眺めは最高です。廻縁(まわりえん・ベランダのようなもの)に出て、ぐるりと歩くことができ、美しい木曽川や濃尾平野、伊木山など、360度のパノラマを楽しめますよ。風の強い日はなかなかスリリング!

最上階からの眺めが最高!木曽川や伊木山、濃尾平野が360度一望できます
高欄(手すり)が低いので、風が強い日はかなりスリリング!

 犬山城は名鉄の略称で親しまれる名古屋鉄道(犬山駅〜新鵜沼駅)やJR高山本線(鵜沼駅付近)の車窓からも見えます。車窓から見ると、天守が断崖絶壁に建っているのがよくわかります。

名鉄が走る犬山橋から見た犬山城 写真=フォトライブラリー

 

●甲府城(山梨県)

 駅近のお城といえば、甲府城はJR中央本線甲府駅から徒歩3分でアクセスできるお城です。武田氏滅亡後に豊臣秀吉によって築城され、徳川時代には柳沢吉保の居城にもなりました。中央本線の開通に際して、広大だった城跡が線路や甲府駅によって分断された経緯があるので、お城と駅が近いのも納得ですね。

舞鶴城とも呼ばれ、市民の憩いの場にもなっている甲府城。桜の名所としても有名

 現在、城跡の一部が舞鶴城公園と甲府市歴史公園として開放されています。天守はありませんが、天守台の石垣に登れば、甲府盆地を一望でき、天気が良ければ富士山が見えることも!

 車窓やホームからも築城当時のおもかげを残す野面積(のづらづみ)の見事な石垣や、復元された稲荷櫓(いなりやぐら)などを見ることができます。

稲荷櫓と野面積みの高石垣。甲府駅のホームや車窓からもよく見えます

 

●福山城(広島県)

 そして、鉄道から間近に見えるお城の代表格といえば、山陽新幹線、山陽本線、福塩線が乗り入れる福山駅から至近距離の福山城です。

福山駅の山陽新幹線上りホーム西側から。ホームの窓を開けてパチリ。黄色い車両はJR福塩線。かつて線路の部分は内堀だったそう

 福山城も甲府城と同様に、城跡内に線路や駅が貫通しているので、鉄道と城の距離がとても近いのです。かつて内堀だったところを利用して、線路やホームを作ったのだとか。そのため、ホームに降り立つと、お城がもうすぐそこに! 

正面から伏見櫓と福山城の天守。新幹線のホームは伏見櫓と目線が同じ高さなので、伏見櫓を一番カッコよく撮れるスポット!

 徳川時代に西国の抑えとして築かれましたが、1945年の福山大空襲で天守が焼失。現在のものは戦後の復元ですが、伏見櫓と筋鉄御門(すじがねごもん)は当時のものが残されています。

 2022年は福山城築城400年にあたるため、8月の記念セレモニーに向けて現在は大規模改修工事が行われています。戦災に遭う前の福山城は、縄張り上の弱点である天守の北側だけ壁の表面に鉄板を張ってありました。大砲などに備えた最強の防弾壁だったのですが、今回のリニューアルではその天守北側の鉄板張りの復元も進められています。

 天守の壁一面が鉄板張りというのは福山城だけなので、私もワクワクしながら完成を心待ちにしています。

現在、復元改修工事中の福山城天守。どんな風に生まれ変わるのか楽しみです。 ※写真は2015年

 今回ご紹介したほかにも、お城と鉄道のコラボレーションを堪能できるスポットは日本各地に点在するので、皆さんもお城巡りと鉄道旅をセットにして楽しんでみてくださいね。