運慶作の国宝五仏が祀られている願成就院

願成就院 写真=フォトライブラリー

 次に、駿豆線で訪れてほしいのが韮山駅。そこから徒歩15分くらいの所に「願成就院」があります。

 しっとりと落ち着いた趣があるお寺で、源頼朝が奥州藤原氏を征討する際、北条政子の父である北条時政が戦勝を祈願して建立しました。

願成就院の境内にある北条時政の墓 写真=フォトライブラリー

 鎌倉幕府・初代執権の時政。歌舞伎などでは悪役のイメージで描かれることが多いのですが、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』ではどこか憎めない気のいいおじさん。そんな時政が今後どのように変貌していくのかも目が離せませんね。境内には時政の墓所もあって、時政ファンには必見の場所です。名前も縁起が良いので、何か願いを叶えたいときにお参りするとご利益がありそうな感じがします。

運慶作の国宝「毘沙門天立像」 写真=静岡県観光協会

 この願成就院の最大の見どころは、運慶が30代の時に造った五体の仏像。国宝に指定されています。たくましく力強い阿弥陀如来坐像や、眼光鋭い不動明王像、北条義時をモデルにしたともいわれる凛々しい姿の毘沙門天立像など、東国武士たちをイメージしたイキイキと躍動感のある仏像が素晴らしかったです。

 韮山駅から隣の伊豆長岡駅にかけてのエリアには、ほかにも源氏や北条氏にゆかりのあるスポットが盛りだくさん。『鎌倉殿の13人』の主人公で二代執権の北条義時が創建した「北條寺」には、義時夫妻の墓所があります。また、義時の館があったとされる「北條義時館跡」の碑や、源頼朝の配流地とされ頼朝と政子の像が建つ「蛭ケ島公園」なども。激動の時代を駆け抜けた人物たちの足跡を辿れます。