藤原 昔はどちらかというと、いらないんじゃないか、というスタンスでした。
新谷 パンクですもんね(笑)。
藤原 でも今は、あってもいいんじゃないかな、と思っています。要するにデメリットがあまり見つからない。
新谷 メリットとは?
藤原 メリットは……日本人の心を穏やかにしてくれる(笑)。
新谷 まさかの模範回答じゃないですか(笑)。でも、「統合の象徴」というのは、きわめて曖昧な表現ですよね。
藤原 これをいうとまた炎上するかもしれないけれど、昭和天皇を象徴と捉えてよいのか否かについては、議論の余地があると思っています。ただ、現在の天皇制については、本当に象徴になったんだと思いますね。
新谷 今回の問題では、その象徴という立場の曖昧さ、難しさが露呈しました。要するに象徴天皇制を持続可能なものにする唯一の支えとは、国民からの人気なので。そうじゃない人が出てきてしまった場合、またはそれが続いてしまった場合、今みたいな形で続くかどうかは深刻な問題で、まさに『文藝春秋』が取り組むべきテーマなんです。
藤原 そうなったら続かないですよね。これもシステムの老朽化というか、世代交代がうまくできなくなっているという問題のひとつかな。
宇宙には
キオスクがない!
──英国王室みたいな形で存続するケースもあるのでしょうか?
新谷 やはり皇室と王室の違いは大きいですよね。神事を執り行うわけだから。そういえば藤原さんは伊勢のご出身ですが、お伊勢参りとかも行くんですか?
藤原 それほど行かないし拝むこともないけれど、好きは好きですよ。伊勢神宮は神というより自然崇拝に近いので。でも、パワースポットとかは全く信じていません。家の近所に伊勢神宮があったから、子供のときに親戚と行くのが嫌でしょうがなかったです。
新谷 無神論者なんですか?
藤原 どちらかというとそうですね。新谷さんは?
新谷 何かを強烈に信じているということはないけれど、かつて『週刊文春』の編集長時代に3ヶ月間の休養処分を受けた時に、その後半の10日くらいをかけて、熊野古道を歩きました。語り部のおじいさんと一緒に熊野三山を全部まわって、お札をもらったりして。
藤原 熊野那智大社はいいですよね。
新谷 熊野という場所は蘇りの地でもあるし、聖俗を問わずすべてを受け入れる場所であるという歴史に、感じるところがあって。その後復帰したら、すぐに完売連発みたいなことになったんです。
藤原 それで神を信じちゃったんですね(笑)。
新谷 それが宗教に結びつくのかはわかりませんが、フォースの覚醒というか。ここで自分がリセットできた経験は、大きかったですね。
藤原 あれはどうですか? 宇宙(笑)。
新谷 え〜、それほどでもないかも……。藤原さんは行きたいですか?
藤原 いや、行きたくないですね。宇宙酔いしそうだし。キオスクとかがあったら行きたいですけれど(笑)、何もモノが買えないじゃないですか。仮想空間みたいに感じそうで。
新谷 私なんかはただのへそ曲がりというか、みんなが語り出すと行きたくないと思っちゃうところがあるので。
藤原 でも今回、前澤くんが行ったことに対しては、僕は素晴らしいと思います。本当に実行するわけですから。