ご利益のテーマパーク!?

 このあたりは古式ゆかしい佇まいだが、実はこの神社には、なかなか面白いしかけもある。本殿の背後の山道も含む広いエリアが「良い縁パワースポット」と呼ばれる場所となっているのだ。大己貴命こと大国様は恋多き神で縁結びのご利益もあるとされるためか、大國殿前にある大黒様の像も、なかなかの美男。

 ここから先には、さまざまな神を祀る摂社、不思議な力を持つ水を取れる霊泉、銭洗所、七福神、「幸せの黄色い祈願布」の結び所、四つ葉のクローバーが多く見つかる場所(ただしクローバーを摘むのは厳禁)などがあり、まるでご利益のテーマパークのようだ。宮司さんと権宮司さんが考えられたという独自の名言を書いた立て札も、そこここで見つかる。「人に褒められるより 人を褒められる人になろう」などなど、実にごもっともである。

 時間に余裕のある方は、御神域の一部であるいろは坂を越えて、中禅寺湖畔にある二つ目のお社、中宮祀にもお参りされるとよい。こちらにも重要文化財指定の拝殿、本殿など立派な建物があり、ご神体は背後にそびえる男体山だ。

中宮祀

 なかなか味のある七福神の石像なども随所に点在しており、お参りスポットには事欠かない。中でも特に目を引くのは黄金の大蛇像だ。これに関しては、以下のような言い伝えがある。『昔、男体山の神が大蛇に、赤城山の神が大ムカデに姿を変えて領地争いをした。大蛇は猿丸という名の弓の名手の助けによって大ムカデを撃退した。その戦いが行われた場所を戦場ヶ原という』。なるほど、やはり男体山の神は、日光と呼ばれる地域全体の護り神だったのだ。

男体山

 この神社の奥に男体山への登拝道があり、山頂に三つ目のお社、男体山奥宮がある。ここから約6キロ、3時間半ほどの険しい山道だ。わたしは脚力に自信がないので遠慮したが、頂上からの眺めはさぞ素晴らしいだろうし、三社お参りできたという達成感もひとしおだろう。冬場は閉山されて登れないが、元気な方は来年春以降、本格登山の準備を整えて、ぜひとも制覇していただきたい。