テレワークにおける
プロジェクトマネジメント

 次に、テレワークで在宅業務を余儀なくされた場合、どうすればプロジェクトはうまく進められるでしょうか。まず、テレワークにおける主な問題から見ていきましょう。

テレワークにおいても、プロジェクトマネジメントは可能なのか
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 1つ目の問題は、セキュリティです。2020年に最初の緊急事態宣言が出されたころは、「社用PCを持ち出せない」「社外から社内ネットワークに接続できない」といった問題が顕在化したはずです。これらについて、当社では次のように取り組みました。

 まずは、「VDI」(仮想デスクトップ)の導入です。こうすることで、セキュアな状態を保ったまま、自宅でもPCの環境を用意することができます。次に、クラウド環境の強化。こうすることで、「社内ネットワークや社内の物理的な機器に接続しなければ仕事ができない」という状況を極力排除しました。

 2つ目の問題は、コミュニケーションです。「各メンバーの動きや顔が見えない」「ちょっとした意思疎通ができない」という問題があったはずです。当社では、在籍管理システムを導入し、チームメンバーの顔を積極的に出し合うことで、「今、忙しそうかな?」と伺うことができる状況を作り出しました。また、Slackなどのチャットツールで何気ない日常会話ができるチャネルを作成。雑談を推奨するルールを設けながら、積極的にコミュニケーションを取るように促しました。

 そして最後は、プロジェクトマネジメントについてです。当社でも、前述したような問題が起因となり、プロジェクトの進め方やルールの曖昧さが露呈しました。また、各チームの状況が容易にブラックボックス化したこともありました。そこで当社が取った対応策は、原則として「基本に立ち返る」こと。これも前述したように、しっかりとしたプロジェクト計画や状況の可視化、そのために必要なプロセスの整備を行うことで、迅速な問題解決を図ることができました。

 テレワークになっても、やるべきことは基本的に変わりません。問題はテレワークという環境よりも、プロジェクトマネジメント自体をしっかりと行えているかどうか。この点に尽きると思います。

プロジェクトを横断的に見る
「PgMO」の必要性

 今後は、個別のプロジェクトを成功させるだけでなく、その成功の仕組みを組織として継続的に実施し続けることが重要になってきます。そのためには、プロジェクトを横断的に見ていく全社的なPMOが必要です。当社では、それを「PgMO(プログラム・マネジメント・オフィス)」と呼んでいます。

プロジェクト横断組織(全社PMO=PgMO)を配置し、成功確率をより高める
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 上図は、PgMOとなる部署を立ち上げて、各プロジェクトに対して4つの機能を持たせた例です。4つの機能は、プロジェクトへナレッジや教訓提供を行う「標準プロセスチーム」、PMOとして現場支援を行う「PM支援チーム」、プロジェクト監査を行う「監査チーム」、社員教育を行う「教育チーム」となります。これらのチームをプロジェクトに対する“権限の強さ順”に並べたものが下図です。

PgMOの主な機能
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 下に行けば行くほど、その権限が強くなります。プロジェクト品質のばらつきを抑えるために、標準プロセスや過去の教訓を提供することからスタートし、必要に応じて社員への教育も行います。また、現場にマネジメントのリソースが不足すれば、支援のためのメンバーを派遣。一定期間でプロジェクトの監査も行い、万が一プロジェクトが立ち行かなくなった場合は、リリースを延期するよう進言なども行います。こうすることによって、プロジェクトの品質を底上げし、一定以上に保つことで、組織としての勝ちパターンを構築していきます。

 こういったPgMO組織は、大企業ではすでに設置されていることが多いようです。しかし、弊社が各現場にヒアリングした結果、「評論家は不要。もっとプロジェクトに入るべき。PgMOは現場状況を分かっていない」「PgMOには柔軟性がない。現実問題として工程を止められないので、無理に説明をつけてでも前に進めたい」といった声も多く聞かれます。今後の課題として、PgMO自身も過去のやり方にとらわれず、これまで以上に変化への対応スピードや柔軟性、先進技術やノウハウの習得をしていかなければなりません。

 弊社では、PMOサービスを最低週1回から利用できる「PMO ONLINE」、独自開発した成功確率予測ツール「PROEVERマネジメントスコア」をご用意しています。DXの成功に向けたプロジェクトマネジメントにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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