イノベーティブな組織を作る「3つのステップ」とは?

 では、「イノベーションを生む組織の行動」とはどんなものでしょうか。マサチューセッツ工科大学(MIT)のアレックス・ペントランド教授は、「行動のパターンから集団の知性は生まれる」と言っています。

 また、チームや組織の創造性やパフォーマンスを向上させるには、チーム内で平等な発言頻度が保たれ、高い社会的知性が獲得されているかが重要な条件だとも示唆しています。

 誰か1人が卓越した能力を持っているのではなく、チームのメンバー同士が互いにバランス良くコミュニケーションを取り、情報を発信・共有し、組織としての高いインテリジェンスを備えていることが、イノベーションを生む組織の条件だというのです。

 また、そのために一人ひとりが、ふさわしい行動変容を心がけていくことが求められてきます。次に「明日から実践できること」を、以下の3つのステップでご紹介しましょう。

●ステップ1:まずはコミュニケーション基盤を構築する
 メンバー間のコミュニケーションならば、すでにメールがあると考えている人も多いでしょう。しかしここではチャットツールの導入が重要なキーになります。というのも、メールだと「お疲れ様です。〇〇です」といった定型に縛られてどうしてもビジネス的になり、また一方通行で距離感も遠くなりがちです。

 しかしながら、SlackやMicrosoft Teamsのようなチャットツールならば、多対多のコミュニケーションが可能で組織の距離感がぐっと縮まります。

●ステップ2:社会的な情報の探索と学習で見聞を広める
 2段階目は、「外的な変化とは何なのか?」にいち早く気づき、その動きを捉えることです。ここで大事なのは、個人的に新聞やテレビを見て情報収集するといった従来のスタンスではなく、チームや組織として情報を得る仕組みを作ることです。

 というのも、情報は一人ひとりで集めるよりも、チームや組織として収集し共有する方が、圧倒的に情報の伝達スピードが速くなり、共通理解が得られるからです。

●ステップ3:組織内やチーム内における情報発信と着信
 ステップ2までを実践できるようになったら、そこで得た情報や知見をもとに、それぞれの立場に応じて発信と着信を積極的に行うことが必要です。

 経営者ならば、自社の変革の意図や目的を社内に繰り返し発信し、何らかのリアクションがあれば受け止めて、コメントしたりコミュニケーションを取ること。もう一つは、テクノロジーを若手社員から学ぶ姿勢も大切です。