本コンテンツは、2020年8月31日に開催されたJBpress主催「Digital Innovation Forum 2020 <夏>〜デジタル変革によるイノベーションの実現〜」での講演内容を採録したものです。
Snowflake株式会社
シニアセールスエンジニア
K T 氏
人々を煩雑なデータ処理から解放するには?
企業や組織によるデータ活用がますます加速する中、データドリブンの文化が拡がりつつあります。近い将来、データこそは世界でもっとも貴重な資源になると言われており、この先もデータは急速に増え続けていくのは確実です。ある調査によると2025年には、全世界のデータ量は163ゼタバイト(1,630テラバイトに相当)に達すると予想されています。
にもかかわらず、データをビジネスに活用する試みは、これまで決して順調とは言えませんでした。ガートナーの調査では、ビッグデータプロジェクトの85%は序盤で失敗しています。
エンタープライズデータの60~73%は利用されておらず、72%の企業はデータドリブン文化に達していません。さらにデータ分析から得られた洞察の80%は、2022年までビジネス上の利益をもたらすことができないと予測されています。
こうしたジレンマが端的に現れたのが、今回の新型コロナウイルス禍です。この数カ月間、公的機関やボランティアも含めた世界中の人々が感染状況などを全力で分析し、そのデータを広く共有してきました。
しかしその成果は余りにも膨大な、そして地道な努力の上に成立しています。ある人は手動で毎日データの可視化グラフなどを更新したり、突然データソースの集計方法が変更されて、これまでの処理ができなくなったりと苦労の連続でした。
ここでの問題は、そうしたデータを収集・処理する作業が、そのデータを活用する人々のより本質的な仕事の妨げになっているという事実です。東京都の保健所では、新型コロナの情報をいまだにファックスと手入力で行っています。
この労力が、コロナ禍への対応のエネルギーを大きく削いでいるのは間違いありません。こうした人々を、データの単純な処理作業から解放することが、真のデータドリブンな世界を実現する第一歩なのです。