本コンテンツは、2019年7月19日に開催された「Digital Innovation Forum 2019 <夏>」での講演内容を採録したものです。

2030年には潜在価値1000兆円に達するデータ・ドリブン経営

林 達氏
ストックマーク株式会社 代表取締役CEO

 デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)によって、企業はどう生まれ変わるのか。多くの経営陣がそのテーマに取り組み、さまざまな打ち手にチャレンジしています。そうした流れの中でひときわ注目を集めているキーワードの1つが「アジャイル経営」です。

 アジャイル経営とは、デジタル技術などの活用によって企業経営のアジリティ(俊敏性)を劇的に上げていこうという取り組みです。弊社はデータ・ドリブン経営をさらに進化させたところに「アジャイル経営」という概念があると考えています。少なくともMcKinsey Global Instituteの発表によれば、このデータ・ドリブン経営の潜在価値は2030年には1000兆円以上に達すると予測されています。顧客価値を高めるためのデータ・ドリブンな経営を実現するとともに、外的変化に素早く対応し意思決定を高速にするアジリティを持つことの重要性が高まっています。

 とはいえ、最大の問題は「いったいどうすれば組織のアジリティ変革が実現できるのか」という点です。VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)の時代といわれる昨今、多くの企業では、「①テクノロジー企業による業界の垣根を超えたディスラプション(破壊)が拡大」し、「②顧客ニーズの多様化による商品ライフサイクルの短縮が止まらず」、「③データ爆発により従来のアナリティクス手法が使えない」というジレンマに襲われています。

 この難局を乗り越え、「(i)顧客価値の向上に集中できるデータ・ドリブンなビジネス・プロセスを確立」し、「(ii)それらを社員全員が正しく利用できる組織カルチャーを浸透」させなければ、アジャイル経営は成立しません。

 こうした難しい課題が広がる中、2016年にAIスタートアップとして誕生したわれわれストックマークでは、その強みとする「自然言語処理×ディープラーニング」の技術でこれを解決する道を探ってきました。そうして到達したのが「Anews」「Astrategy」「Asales」という3つのプロダクトに集約したAIアジャイル経営のソリューションです。「Anews」についていえば2017年の正式リリース以来、経済産業省にも導入され、大企業を中心に約1000社にご利用いただいています。「A」シリーズの製品群でわれわれはアジャイル経営実践に向け、以下の3つのTipsを提案しています。

①Data
カンパニー、カスタマー、コンペティターなど、ビジネスにまつわる社内外のデータを収集し、統合し、企業の資産に変える。

②Insight
AIテクノロジーによってヒトを超えるインサイトを導出し、ビジネスを加速させる。

③Culture
全員がカスタマードリブンにデータ/インサイトを使いこなし、ナレッジシェアを進める。

AIを活用した3つのTipsで組織にアジリティを

企業が保有するデータの80%は非構造化定性データ
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 Data分野において着目したのは、企業が保有するデータの実に80%が非構造化定性データだということです。今日この会場には、特にDXへの意識の高い方々が集まっておられるわけで、「データ・ドリブンな経営を」と社内で発信されている方も少なくないかと思います。

 しかしわれわれが知る限り、世の多くの企業がすぐに活用できる構造化データというものは、売上・会計・受発注データなどに限られ、全体の20%ほどに過ぎません。企画書や議事録、商談メモやメール、ニュースおよび調査レポートといった、ビジネスの最前線に関わるものの多くは非構造化定性データであり、そのままでは簡単に活用することはできません。ストックマークでは、その強みである自然言語処理技術をこの分野に投入することで、非構造化定性データを“活用可能な状態”、つまりInsightへと変換することに成功しました。

 具体的には商談メモなどのドキュメントや、SNSあるいはニュースサイトにある自然言語をAIがディープラーニングによって処理し、トピック抽出(何についての話題かを判別)、自動要約(事象や因果関係を判断)、自動整理(顧客に影響を及ぼす損害あるいは価値などを識別して整理)、センチメント分類(ネガポジなどのビジネス情報を抽出)していきます。こうして、社内にある定性データと社外にある定性データとを、常にビジネスに役立つ形へと自動的に整えることで、あらゆる部門の動きが加速します。Insightが社内にくまなく還流され、組織の壁を超えたナレッジシェア(知識や経験の共有)も達成しやすくなり、全社規模でアジリティを実現していけるCultureが組織に浸透していくのです。

定量 ✕ 定性解析でデジタル時代の意思決定を加速する
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「Dead or Agile.」の時代を生き抜く

 以上のテクノロジーを用いて、「Anews」はAIによってユーザーのビジネスに直結したニュースをデイリーで自動配信し、「Astrategy」はマクロ環境や競合他社のアクションなどをAIが解析して戦略策定をサポート、「Asales」はSalesforceと連携しながら日報や商談メモをAIが解析して営業部門でのナレッジシェアを高速化していきます。

 もちろん、大きな組織になればなるほど、「デジタルによって旧来のカルチャーを一新しながらアジリティを加えていく」という取り組みは困難を極めますが、ストックマークのプロダクトやソリューションが、特に大企業の皆さまからご支持をいただいていることからも、われわれは自信を深めています。

 VUCAの時代が、企業規模や業種にかかわらず、全ての組織に変革と進化を求めているのは間違いありません。当社では「Dead or Agile.」=「アジャイル経営によって進化しない組織は、暗い森の中を彷徨い続ける」というメッセージを発信し、より一層の精度を追求しながら、企業が目指すDXを強力にサポートしていける存在であり続けようと考えています。

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