資源を一方的に消費するだけの線形経済から、再利用をはかる循環型経済へ。地球環境保全が課題となっている現在、この転換が社会の命題となっている。この命題に対し、プラスチック資源を循環させるためのデジタルプラットフォームを開発しているのが旭化成だ。同社が「BLUE Plastics」と呼んでいるプラスチック資源循環プロジェクトのリーダーは、「材料メーカーが資源循環を指揮する立場になることを目指す」と意気込む。

プラスチック資源循環プロジェクト、始動

 循環型経済(サーキュラーエコノミー)は、これまで捨てられてきた材料や製品を資源と位置づけ、循環させたり再利用したりする経済の仕組み。2015年、欧州委員会が提唱したことで、考えが広まった。従来の、原材料から製品をつくって使い、あとは捨てるだけという線形経済(リニアエコノミー)から脱却した先の形として、循環型経済の姿が描かれている。

 この転換には企業間の連携が欠かせない。資源循環を1社が行うわけではないからだ。そのため、資源が循環する仕組みをつくる主体者の役割が求められる。この役割を「循環プロバイダー」と呼ぶこともある。

 循環プロバイダーになると名乗り出た企業の一つが旭化成だ。同社は2050年までを見据え「カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現」を目指すことの一つに掲げている。その取り組みの一環として、プラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」を2021年5月に開始した。企業それに消費者。資源循環にかかわるステークホルダーたちを巻き込み、デジタル技術を駆使して循環の仕組みを構築しようとしている。