ビジネス成功のカギを握る
「データ」を活用する方法

 総合コンサルティング企業のアクセンチュアとデータ統合ソリューションを提供するインフォマティカがパートナーシップを強化しているが、その狙いはどこにあるのか。デジタルトランスフォーメーションの必要性が叫ばれる中、企業経営にデータを生かすためには、どのようなポイントがあるのかとあわせて、アクセンチュアの三原哲氏に解説してもらった。

ビジネスにおける
データ活用がますます重要になる

アクセンチュア株式会社
テクノロジーコンサルティング本部
データグループ日本統括
マネジング・ディレクター
三原 哲

 ビジネスにおけるデータ活用の重要性が指摘されて久しい。だが、データ活用によりビジネスを伸ばしている企業と、そうでない企業とでは明暗が分かれているようだ。

 総合コンサルティング企業のアクセンチュアで、データグループ日本統括、マネジング・ディレクターを務める三原哲氏はその理由を次のように指摘する。

 「現在は、データ活用が目的ではなく、もはやデータ活用しなければビジネスができない時代になっています。テクノロジーはあくまでも手段にすぎません。それを使ってどのような価値を提供すればお客さまに喜んでいただけるかを考えることが大事です。本当の意味での顧客本位を実現するために最適なテクノロジーは何かと当てはめていく。それがぴったり合ったときに大きな事業、大きな収益になっていくのです。そういう意味では、データ活用は経営とは切っても切れない、経営者自身が取り組むべきテーマと言えるでしょう」

 情報システム部門のスタッフが経営トップから「わが社もビッグデータで何かやれ」と言われたものの、何をすればよいのかが分からず右往左往するという話が笑い話のように語られることがあるが、それでは真のデータ活用が実現しないわけだ。

 ところで、データ活用にたけている企業と言えば、GAFAに代表されるような新進のハイテク企業をイメージする。日本企業、特に伝統のある企業や大手企業はこれらの後塵を拝している印象もある。

 それに対して三原氏は「企業は変化していなくても、お客さま自身が変化しているということは意識しなければなりません。お年寄りも含めてあらゆる人がスマートフォン(スマホ)を利用しています。若い人たちは生まれた時にもう身の回りにスマホがあって、分からないことがあれば何でもスマホで調べる。動画も音楽もスマホです。テレビを見ないという人も増えています」

 企業が好むと好まざるとにかかわらず、社会環境そのものが急速に変化しているということだろう。折しも2020年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、企業におけるビジネスの在り方や働き方が問われることになった。

 「オンラインでの商品・サービスの提供、リモートワークの導入に伴う業務のクラウド化など、数年先に起こるであろうと想定されていたことが一気に前倒しで起きました。これに対応できるかどうかで、企業の生き残りも決まってくるでしょう。逆に言えば今は、企業にとって大きく変化するチャンスでもあります」(三原氏)

大切なのは、
データを活用し何をしたいのか

 今後も、企業はさまざま社会変化やリスクにさらされることとなるだろう。その中で、データ活用に成功する企業の要諦があるとすればどんな点なのだろうか。

 「これからはアジャイル(短期間に開発・検証を繰り返す手法)だ、クラウドだと言いがちですが、それも少し違うのです。インフォマティカのサービスもそうですが、クラウドを単にサーバーやストレージというイメージで考えるのではなく、変化に対応するための基盤と捉えることが大事です。繰り返しになりますが、大切なのは、データを活用して何をしたいのかという点です。そのためには、企業の経営トップから事業部門の最前線のスタッフまでが、『データを活用してどんな新しい価値を提供したいのか』を、共通認識・共通言語として持っていなければならない。これはいわば、データ活用文化とも言えます。その文化を社内に醸成させることが大事です。人材育成も同様で、データ人材とは必ずしもデータアナリストではありません。テクノロジーには詳しいけれど、ビジネスのことが分からないのでは意味がありません。ビジネスのゴールを描き、それを実現するためにテクノロジーは使うのですから」と三原氏は語る。

データ統合管理ソリューションの
リーディングカンパニー

 三原氏が名前を挙げたインフォマティカは、多様なシステムやサービス間のデータ連携や管理を行うクラウドデータ統合管理ソリューションを提供するグローバル企業であり、またデータマネジメントという領域ではリーディングカンパニーと言える存在だ。同社は、25年以上に渡りデータマネジメント一筋に、顧客が持つ“データの力”を引き出す事に注力しており、世界で9,000社以上の企業がそのソリューションを利用している。

 アクセンチュアとインフォマティカは、グローバル市場のみならず日本市場においても戦略的なパートナーシップを結んでおり、日本の顧客に向けデータ利活用のためデータ統合ソリューションを提供している。

 三原氏は「データの収集やマネジメントという点ではインフォマティカは豊富な実績と経験があります。クラウドやオンプレミスなど、さまざまな場所にあるデータをセキュアな環境で柔軟に活用できる。そのためのソリューションの提供では世界ナンバーワンだと信頼しています」

 インフォマティカはまさに世界におけるデータ活用の歴史とともに歩んできたが、最近では新たなコンセプトも提言している。それが「Data 4.0」というキーワードだ。具体的には、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには、「クラウドネイティブ」「インテリジェントなオートメーション(自動化)」「AI(人工知能)ドリブン」「ガバナンスと信頼性」「部門単位でなく全社規模の大規模運用」の5つの要素が必要だという。データマネジメントの在り方が、大きく変化しつつあると言える。

パートナーシップにより
顧客のビジネスの成功を支援

 インフォマティカが提唱する「Data 4.0」が従来と異なる特徴としては、「クラウドネイティブ」、さらに「AIドリブン」を挙げられるだろう。この「AIドリブン」とは、AIとデータ管理の関係性の一つの側面を表しており、企業内のデータ管理においてAIをフル活用していく事である。インフォマティカでは「CLAIRE™」というAIエンジンを活用したインテリジェントなデータ管理に活用できるようにしている。もう一つの側面は、企業でAIテクノロジーを活用するには企業内のあらゆるデータがきれいな状態で必要であり、その為にはデータ管理基盤が必要という関係性である。

 このAIテクノロジー活用への取り組みという点では、パートナーシップを結ぶアクセンチュアは頼もしい存在だ。同社では2018年の早期から、「AI Hubプラットフォーム」を発表している。これは、IBM Watson(Bluemix)、AWS(Amazon)、GCP(Google)、Microsoft Azureなどをはじめ、クラウドで提供されている複数のAIエンジンを自由に組み込んだり、組み入れたりできるサービスだ。

 三原氏は次のように紹介する。「AIエンジンは一般的に単機能です。顔認証をするAIならそれしかできません。そこで業務プロセスに応じて必要なAIを組み合わせたり、必要によって人間との協働も行えるようにしたりするのが、当社の『AI Hubプラットフォーム』です」

 「AI Hubプラットフォーム」を活用した実績も生まれている。例えば、ある航空会社のサービスでは、同社のプラットフォームを利用し、チェックインカウンターなどでの乗客からの問い合わせの音声認識、必要な情報の検索、タブレット端末への表示などを瞬時に行えるようになっているという。まさに「何をすればお客さまに喜んでいただけるか、そのためにはどのようなテクノロジーが必要か」を見極め、実現した好例と言えるだろう。

 三原氏は、「当社の使命も、お客さまのビジネスをより良くすることにほかならないと考えています。当社はテクノロジーに強いコンサルティング会社ですが、テクノロジーありきではなく、ビジネスの観点からソリューションに落とし込むことをずっと行ってきました。インフォマティカとのパートナーシップにより、さらにそれが力強く推進できる体制ができました。引き続き、お客さまのビジネスの成長を支援する存在でありたいと考えています」と三原氏は結んだ。

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