―今後、日本ではどのような事業展開になるのでしょうか。
湊氏これまでにお話ししてきたことで、「日本だから」という理由で適用されないことは一つもありません。グローバルに決まったことを日本でもフルに実践します。IQVIA COREに重点投資し、それを使って我々自身の社内プロセスを変えていきますし、その過程をエビデンスとしながら、お客様の効率改善のお手伝いをさせていただくということは1ミリの過不足もなく全く同じです。薬価の決まり方や、医療保険等他国との法制度の違いを無視するという意味ではなく、医薬品のライフサイクル最適化のご支援を通して、医療や患者さんへ貢献したいという基本的な理念は、グローバルの方針と違いません。日本においてはこれまでの2法人での事業運営とはなりますが、統合によってお客様へのさらなる価値提供を最優先し、法人の枠を越えた形で連携をさらに強めていきます。これまで日本ではクインタイルズとしてCRO(医薬品臨床開発受託機関)事業、CSO(医薬品営業マーケティング受託機関)事業、そしてIMSジャパンのそれぞれが強みを持って事業を展開してきましたが、IQVIAの下でより一体感をもった事業グループとして活動していくことになります。
―最後に、これからの市場環境における日本のIQVIAとして、お考えになる“あるべき姿”をお聞かせください。
湊氏この先5年間、日本の医薬品市場は、先進国の中では群を抜いて厳しい低成長となることが見えています。アメリカにもヨーロッパにも新興国にも前例がなく、まさに日本固有の課題ですが、重要なのはそういった環境の中で、いかにお客様あるいはパートナーに成功していただくためのお手伝いができるかということです。これは効率化につきると言っても過言ではないと思います。厳しい環境であればあるほど、効率化への要求度も重要度も高くなります。我々もただリクエストに応えるというメンタリティではなく、せっかくIMSとクインタイルズの両社で脈々と築きあげてきた市場に対する理解があるわけですから、お客様に成功してもらう提案がどんどん自らできる形に持っていかなければいけないと考えています。そのように、日本のお客様がとても大変な時期であることを理解し、気を引き締めて、真摯に対応させていただくということが先ず挙げられます。
もう一つは、日本市場のプレゼンスに関してです。市場自体が伸びない、あるいはマイナス成長という状況になると、世界における日本の医薬品・ヘルスケア産業のプレゼンスが下がっていってしまうかもしれません。私が懸念しているのは、医療・ヘルスケア業界の皆様のご尽力でここまで縮めたドラッグラグが再発してしまうことです。世界では患者さんに望まれる薬が開発されているにもかかわらず、日本での実用化が遅れてしまわないよう我々でできることはないか。例えば、治験が持つ課題の一つはコストですから、治験のプロセスを効率化してコスト節減できるお手伝いができれば、必要としている患者さんが少しでも早くお薬を使えるようになるはずです。薬の価値を見定めていくために、我々のリアルワールドの知見や専門性を使ってお手伝いしていくのもそうです。たとえ市場が動いて相対的に日本のプレゼンスが下がったとしても、よい薬を確実に、早く、患者さんへ使えるようにお手伝いをするということを忘れてはいけない。つまり私たちIQVIAの活動は、1億人の国民の健康を支える道に通じるという信念を持って、やれることは全部やる、最大限実践していくということであると確信しています。
2018年4月1日より、日本での法人名はそれぞれ、IQVIAソリューションズ ジャパン株式会社 (アイ・エム・エス・ジャパン株式会社)、IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社 (クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社)へ変更予定です。
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湊 方彦
IQVIA,Japan プレジデント
アイ・エム・エス・ジャパン株式会社 取締役会長
1985年東京大学大学院工学系研究科修士修了、同年日本IBM入社、ネットワークサービスの企画・開発に携わる
99年AT&Tジャパン(旧AT&Tグローバル・サービス)入社、常務、副社長を経て、02年1月社長
2009年3月IMS入社
10年1月社長就任
15年6月取締役会長およびIMS Health パシフィック・アジア プレジデント就任
16年10月Quintiles とIMS Healthの合併に伴い、QuintilesIMS,Japan プレジデント就任
17年11月にIQVIA,Japan プレジデント就任
1960年兵庫県出身
過去の連載記事
50年前からビッグデータに向き合ってきたIMS▶︎ ヘルスケアとITがクロスオ―バーする新たな立体空間に無数のビジネスチャンスが出現▶︎ デジタル時代の医薬情報提供活動▶︎ 従業員を守る「健康経営」の実現に向け、「データヘルス計画」をワンストップで支援するIMS▶︎ 処方薬の効果や安全性を可視化し、患者に還元
ビッグデータを駆使して医療の最適化への貢献を目指すIMS▶︎
※2017年11月6日(米国東部標準時)、IMS Health と Quintilesのグローバル統合ブランド“Quintiles IMS”は“IQVIA”となりました。
日本での法人名は、2018年4月1日より、IQVIAソリューションズ ジャパン株式会社 (アイ・エム・エス・ジャパン株式会社)、IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社 (クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社)へ変更予定です。今後、両法人はIQVIAジャパングループとして法人の枠を超えより一体化したオペレーションを目指し、両社で新たなサービスやソリューションの提供や更なる改善を進めていきます。なお、本件に伴う法人体制及び各事業の変更はございません。詳しくは、https://www.iqvia.co.jpをご覧ください。
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