分析とテクノロジーの部分では、 AI分析など新しいテクノロジーを活用した取り組みもしていくのでしょうか。

湊氏実は合併後に数十のマシンラーニングを使ったプロジェクトが社内で進行しており、既に成果が見えてきています。お客様の営業マーケティングの意思決定にAIを活用できるプラットフォームはほぼ完成し、グローバルでの提供体制も整いつつあります。また、患者さんの治療向上というところでも、希少疾患の領域で結果が出始めてきています。ビッグデータとAIの活用で、データの海から希少疾患をみつける認識力が飛躍的に進化しました。一万人を見て一人いらっしゃるかどうかというような希少疾患の診断は、医師でさえ難しいと思われます。一旦診断されたビッグデータをAIに学習させることで、かなり高い精度で機械による希少疾患の発見が可能になり、臨床開発にも役立ってきています。これも合併後に、両社の社員が集り議論を重ね投資し、トライして結果を出してきています。この他にも、社内でデータベース化するためのプロダクションと呼ばれる作業をAIを使って効率化するといった縁の下で動くプロジェクトもたくさん走っています。

IQVIAの名称やロゴについて、意味や想いがありましたらお聞かせください。

湊氏合併後の活動を通して、我々の仕事というのは、データ・テクノロジー・分析力・人を使った、お客さまのクリティカルなプロセス改革のご支援であることに改めて気づきました。同時に、その改革を自ら実践しないのは責務に背くことではないかとも思っています。そこで我々は、お客様に「このように改革していきましょう」と提案してきたことを、IQVIA COREを使い自ら進んで大きなスケールで実践していくことで我々自身がエビデンスになっていく、そういった方向性で考えています。つまり、「変えていくこと」を我々自身が率先して着手し、それをお客様の価値向上につなげていくということです。先ほども申し上げた「情報」を例にしますと、IMSに限らずクインタイルズにも情報は沢山あったものの、それらはほぼ治験の一つ一つを上手く進めていくための手段としてだけ使われていました。2社が合併したことでその情報の価値の大きさに気づき、それを財産として改めて活用できることがわかりました。そうした“気づき”を活かしてプロセスを最適化していくということを、まず自分たちが実践し、それをソリューションとしてお客様にも使っていただくことで、お客様のプロセス効率もより有効なご支援が可能になると考えています。

リアルワールド・データ、Next-Genなどの成果に加え、ライフサイクル全てのプロセス最適化が可能に

IQVIAだからこそ実現できることを具体的にお聞かせいただけますか。

湊氏たくさんありますが、まず、リアルワールド・データ(RWD)の部分で統合のシナジーが出ており、薬や医学的な治療法の価値、あるいは安全性をトータルに見ていけることが挙げられます。医薬品にとっても、データを使った分析と、実際にモニタリングをして収集した分析は両輪で評価した方がいいはずです。安全性とモニタリングを足して一つのリスクマネジメントをするという流れも、欧米に続いて日本でもこれから大きくなっていくはずです。この領域は我々のビジネスの成長率でみても加速しています。そして、この領域をけん引できるようになることで、強みと、ひいては日本の医療にも貢献できると思っています。

 2つめは、IMSが持っていたナレッジやノウハウを治験にも活用することでクリニカルトライアル自体が変えられるということです。とくに次世代型の臨床開発、Next Generation of Clinical Development(以下Next-Gen)については、合併当初に思っていたことがかなり早く実現でき、現在はほとんどの提案活動において臨床試験のプロセスの中にNext-Genを組み込んだ形で動いています。これによって、例えば臨床試験のプロトコルを見たときに、対象となる患者さんを高精度に抽出できます。さらに、プロトコルに合わせて施設選定のプロセスの効率化もかなり早い段階で実現しています。

図表

 3つめは、開発の初期段階から上市、販売に至るまでライフサイクルすべてをカバーできるようになったことです。そこから必ずお客様にとっての新しい価値創造ができるはずと考えていましたが、一年をかけて明確にしたのが、IQVIA COREを使いすべてのフェーズのプロセスを最適化・効率化し、次世代レベルに持っていくという価値創造です。その視点で見直してみて、我々に足りないパーツが何かもわかりました。例えば、研究開発の領域においてテクノロジーのサポートをする部分です。我々が社内で使う内製ツールはいくつもありましたが、それらをソフトウエア化して複数のお客様がテクノロジーとして使えるようにするにはもうワンステップ必要でした。そこでM&Aを行ったり、システム開発の人材を投入するなど重点投資を行いました。また、社外のツールを使っていた場合は内製化も進めました。そうしてライフサイクルの中で私たちのケーパビリティーの課題を整備し、加速的に投資と開発を重ねた結果、すべてのプロセスを次世代化するための必要なパーツがほぼ全域に揃い、お客様に提案できるところまで到達することができました。

IQVIA

※2017年11月6日(米国東部標準時)、IMS Health と Quintilesのグローバル統合ブランド“Quintiles IMS”は“IQVIA”となりました。
日本での法人名は、2018年4月1日より、IQVIAソリューションズ ジャパン株式会社 (アイ・エム・エス・ジャパン株式会社)、IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社 (クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社)へ変更予定です。今後、両法人はIQVIAジャパングループとして法人の枠を超えより一体化したオペレーションを目指し、両社で新たなサービスやソリューションの提供や更なる改善を進めていきます。なお、本件に伴う法人体制及び各事業の変更はございません。詳しくは、https://www.iqvia.co.jpをご覧ください。

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