あり得ないけど刺激的、失われていくアマゾンの密林ファンタジー

【山根一眞の万有探査】「大蛇」の恐怖と魅力と「伝説」(7)
2021.8.8(日) 山根 一眞 follow フォロー help フォロー中
生物学
シェア5
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
絵本『大蛇のすむ森 私のアマゾン』(2019年、啓正社刊)はアマゾンの民話・伝説を発掘してきた、マナウス市在住の陣内すまさんの絵本。表紙絵はアナコンダだ。アマゾン育ちでなければ描けないヴァン・ペレーラ氏の絵とのコンビで、アマゾン伝説の森の精が教える教訓を描いた『ガラシとクルピラ』(1994年、2004年、福音館書店)という絵本も出している。
「40m、80cm、5t」の大蛇写真の頭部。こちらを見ている眼は生きているかのようだ。損傷も認められず500発の銃弾を受けた痕跡はない。プリントは、写真が反射せず額などに飾るのにふさわしい絹目印画紙が使われている。(写真・山根一眞収蔵資料)
(注)ネット上では出所不明、虚偽の疑いがある大蛇写真が拡散しているため、本記事に掲載する写真のうち山根一眞所蔵写真や図については出所を明確にするため「Archives of Kazuma Yamane」のバナーを入れてあります。
藤井卓治著『世界の大宝庫アマゾン』(1955年、日本農林協会刊)に掲載されていた大蛇写真。私は同書の複写を保有しているが、複写状態が悪く写真は判別不能だった。だが、こうして下の写真と並べてみて、すでに1955年にこの写真が公開されていたことがわかった。(山根一眞所蔵資料)
同じブラジル国内とはいえ、サンパウロとタバチンガの距離はおよそ8000kmある。航空路で東京からイランまでの距離に匹敵するほど遠い。地図左下は同縮尺の日本。
当時、アマゾンで使われていたのはこのようなカメラだった? 上・左右のカメラは当時標準だったブローニーフィルムの6×6cm判カメラ(12枚撮り)。下・大蛇写真は横長サイズなのでこのスーパーイコンタ(ドイツ製)のようなブローニーフィルムで6×9cm判(横長写真)で撮影したと思われる。あるいは、4×6.5cmのベスト判カメラだった?(写真・山根一眞、カメラは山根所蔵品)
故ヴァン・ペレーラ氏が描いたアナコンダの絵。アナコンダとそれが棲む森への愛、美しいファンタジーが感じられる。(出典:陣内すま著『大蛇のすむ森 私のアマゾン』)
アマゾン最大の祭りであるボイ(牛祭)では、必ず大蛇の山車が登場する。大蛇はアマゾンの人々にとって、崇敬の対象であり森の化身だ。(写真・山根一眞)
映画『アナコンダ』は、「巨大な人間を食べるヘビに遭遇するアマゾン川遠征を描いたアクションホラー映画。評価が悪かったにもかかわらず興行としてはヒットした」と書いている。(出典:Film
映画『ジョーズ』のプレビュー動画(出典:Universal PicturesのYouTubeチャンネル
映画『She Gods of Shark Reef』(鮫の呪い)のポスター。(出典:Wikipedia)
ネット上に拡散しているいかがわしい大蛇フェイク写真の数々。
アマゾンゆかりの生物学者、博物学者たち。私は、彼らの業績に憧れてアマゾン通いを続けた。(写真出典:Wikipedia)
左・ベイツ著『アマゾンの博物学者』、中・ウォーレス著『アマゾン河紀行』、右・ダーウィン著『種の起源』。いずれも19世紀に出版された貴重本。(写真・山根一眞蔵書)
アマゾンの熱帯雨林は地球で最大の水の世界でもある。河口から2000km上流でも潮の干満があり、干満の狭間では水面が鏡のように静止するので、空が水面に写る。満天の星の夜には、見上げる天のみならず見下ろす水面にも満天の星が広がり、宇宙のただ中にいるような錯覚にとらわれる。アナコンダは、そういうファンタジーに満ちた水の世界に生きてきた。(写真・山根一眞)

科学の写真

ソーラー時代の到来、太陽光発電の指数関数的な成長が世界を変える
人類冬眠計画に挑む!難病治療、老化抑制、記憶リセット…クマでお馴染み「冬眠」をヒトに応用すると未来はどうなる
後出しの女帝・小池都知事が打ち出した「無痛分娩費用の助成」が図らずも迫る産科の重い選択
孫文でも毛沢東でもなく、地味な技術官僚が中国の恐竜史に名を刻んだワケ 江沢民と同い年の鄒家華の名が付いた経緯
中国で発見された恐竜には、なぜ「○○サウルス」という名前がつかないのか?恐竜にも及ぶ共産党の政治的特殊事情
「紅麹」健康被害は小林製薬の責任で済む話か?見ぬふりの医師と法律家の罪深さ

本日の新着

一覧
予想を超えた北朝鮮とロシアの「準軍事同盟」、米韓両国で噴きあがりはじめた「韓国核武装論」
李 正宣
【無痛分娩後進国】かつては「痛みに耐えて産んだ」マウントも…人権の観点から広がったフランス、関心が低い日本
なぜ、無痛分娩は日本で普及が遅れてきたのか?田辺けい子・神奈川県立保健福祉大学准教授に聞く
河端 里咲 | 田辺 けい子
「やっぱり昔はよかった」と思うもの、「断然、いまの方がよくなった」と感じるもの
勢古 浩爾
薩長同盟の起点におけるキーマン、中岡慎太郎はどのような人物だったのか?五卿をめぐる中岡と西郷隆盛の会談
幕末維新史探訪2024(24)中岡慎太郎と薩長同盟―その起点は中岡にあった!①
町田 明広
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。