戦後75年・蘇る満洲国(2)奉天、満洲事変の舞台

【写真特集】消滅国家、満洲国の痕跡を求めて
2020.8.11(火) 船尾 修 follow フォロー help フォロー中
中国
シェア0
このエントリーをはてなブックマークに追加
この写真の記事へ戻る
瀋陽の街の中心部に現在もかつての清朝黎明期の王宮が「瀋陽故宮博物館」として保存されている。清朝建国の基礎を築いた太祖ヌルハチとその息子の清朝初代皇帝ホンタイジは実際にここに居住した。落成は1636年(寛永13年)。写真の「崇政殿」の建物は、皇帝が実際に執務するために、また外国からの使徒と接見するために使用された。
拡大画像表示
清朝初代皇帝ホンタイジの肖像画。父親である太祖ヌルハチが清朝の基礎をつくったが、自身は後金国の女真族と称していた。女真族は仏教の文殊菩薩を信仰していたことから、「モンジュ」が「マンジュ」となり満洲という漢字をあてるようになったといわれている。
拡大画像表示
ホンタイジが執務を取った崇政殿にある玉座。対になった金の龍は皇帝を表している。崇政殿周辺が執務と生活のための空間であり、すぐ近くには後宮もあり家族や何人もの側室たちが暮らしていた。
拡大画像表示
張作霖が爆殺された現場は、瀋陽郊外の皇姑屯にある。南北を貫く満鉄線と北京・奉天(瀋陽)間を結ぶ線路がちょうど立体交差する場所に爆弾が仕掛けられた。1928年(昭和3年)のことである。事件の首謀者は関東軍の河本大作大佐を中心とする一派であるといわれており、この事件が引き金となって当時の田中義一内閣は責任を取って総辞職した。
拡大画像表示
張作霖は辛亥革命で清朝が倒れてから急速に武力を蓄え、奉天を地盤に持つ有力な軍閥となった。彼と息子の張学良が暮らした「張氏師府」は現在、一般公開され、門の外には張学良の銅像が建てられている。張学良は抗日という目的で内戦状態の国民党と共産党をまとめたいわゆる国共合作の立役者として現代中国では英雄視されている。
拡大画像表示
張父子が起居し執務を取った張氏師府を代表する建築物である大青楼。1922年に完成した3階建てのローマ様式の耐火レンガを使った建築で堂々たる威風を感じさせる。内部にある執務室なども見学することができた。
拡大画像表示
大青楼のすぐ近くには2階建ての小青楼があり、ここには張作霖の第5夫人と子供たちが暮らした。列車が爆破された後、張作霖はこの小青楼に運ばれ、ここで死亡した。
拡大画像表示
張父子は日本では「軍閥」と呼ばれ、何か私設軍隊の荒くれ者のようなイメージだが、実際には満洲の地である東北三省をまとめる統治者として銀行なども設立していた。そのひとつが辺業銀行で、経済政策にはなくてはならない存在だった。張氏師府にすぐ隣接する跡地には建物が再建され、現在は瀋陽金融博物館として公開されている。内部には当時の取引の様子を再現した人間そっくりの蝋人形が配置されている。
拡大画像表示
満洲事変を企てたのは、関東軍の石原莞爾中佐と板垣征四郎大佐。張作霖爆殺もそうだが、現代でいう自作自演というやつである。この事件を引き金にして関東軍は満洲全土を占領下に置いた。その満洲事変が起きた場所には現在、「九・一八歴史博物館」が建てられ、抗日戦の歴史を写真パネルやジオラマを多用して展示解説している。
拡大画像表示
満洲事変の後に関東軍は、爆弾がさく裂する形をイメージした記念碑を現場に立てたが、太平洋戦争終結後に中国人によって引き倒された。その横倒しになったままの状態で九・一八歴史博物館の敷地内に展示されている。このような記念碑を立てること自体、関東軍が「私がやりました」と白状しているようなものだが、きっと勝てば官軍というような気持だったのだろう。
拡大画像表示

国際の写真

中国・習近平のフランス訪問の意義とは 「もしトラ」に備え各国が熾烈な外交合戦を展開
ハマスだけではないイスラム抵抗運動、湾岸産油国で「アラブの春」再来リスクに イスラエルは攻撃続け停戦協議難航
GDPで日本を抜いたドイツで吹き荒れるリストラの嵐、ドイツ経済で何が起きているのか?
武器弾薬が届くまでの隙をついたロシア軍の猛攻、ウクライナ地上軍に危機迫る
究極のAI兵器「LAWS」、起動したら人類滅亡へまっしぐらか 殺人ロボットに法的・道徳的・倫理的な判断は期待できず
ウソかマコトか、偽情報の制作・拡散のしくみとその対策

本日の新着

一覧
レパトリ減税は円安抑制の妙手となるか?企業が稼いだ海外利益の還流は「最後の砦」に
【唐鎌大輔の為替から見る日本】米国の通貨・金融政策が変わらない限り円安の流れは不変、必要なのは時間稼ぎの手段
唐鎌 大輔
トヨタ佐藤社長が語った自動車産業の未来とトヨタの変革、日本企業初の営業利益5兆円超えと1.7兆円投資の本気度
桃田 健史
性教育は「紳士教育」、足立学園が中学男子に「壁ドン」の是非を問う理由…助産師による「いのちの授業」
【ルポ・男子校の性教育】
おおたとしまさ
始まった生成AI時代本番、人間の創造性はどこで発揮されるのか?
実は日本が原点のAI、パイオニアから創造の秘密を教えてもらおう
伊東 乾
フォロー機能について

フォロー機能とは、指定した著者の新着記事の通知を受け取れる機能です。
フォローした著者の新着記事があるとヘッダー(ページ上部)のフォロー記事アイコンに赤丸で通知されます。
フォローした著者の一覧はマイページで確認できます。
※フォロー機能は無料会員と有料会員の方のみ使用可能な機能です。


設定方法

記事ページのタイトル下にある「フォローする」アイコンをクリックするとその記事の著者をフォローできます。


確認方法

フォロー中の著者を確認したい場合、ヘッダーのマイページアイコンからマイページを開くことで確認できます。


解除方法

フォローを解除する際は、マイページのフォロー中の著者一覧から「フォロー中」アイコンをクリック、
または解除したい著者の記事を開き、タイトル下にある「フォロー中」アイコンをクリックすることで解除できます。