アコードのボディを被ってはいるものの、中身はゼロシリーズの技術が投入されているプロトタイプ

プロトタイプに試乗

 ホンダのテストコースで、ゼロシリーズに採用予定の技術のいくつかを採り入れたプロトタイプのテスト車両に試乗することができました。セダンタイプのそれは、ドライバーの操作(=入力)に対するクルマの反応や動き(加減速や操縦性)が極めてスムーズかつダイレクト感のあるもので、手足を使ってこのクルマを操縦しているという感触を強く得られるものでした。新しいBEVに乗っているというよりは、とてもよく出来た上質なセダンを運転しているような印象でした。

今年7月から日本国内で販売が開始されたCR-Vの燃料電池モデル。プラグインの機能も搭載しているので、駆動用バッテリーに充電して走行することも可能

CR-V e:FCEVにも試乗

 別の日に、北米で生産・販売されているCR-Vをベースに燃料電池を搭載したCR-V e:FCEVにも試乗する機会を得ました。このクルマ、実はすでに今年7月から日本国内でも販売(リースのみ)されています。

 CR-V e:FCEVはいわゆる燃料電池車ではあるものの、充電器により駆動用バッテリーに充電可能(=プラグイン機能)となっています。燃料電池の満充填走行距離は約621km、満充電走行距離は約61kmと公表されていて、充電器ほどインフラ整備が整っていない水素ステーションの状況を鑑みて、万が一水素の充填が出来なくても充電さえできれば走行が続けることができます。ちなみに燃料電池はホンダとGMが共同開発したシステムです。

 燃料電池は「電池」と言いながらも電気を貯めているわけではなく、実際には水素と酸素の化学反応により発電をしています。この電気を使ってモーターを駆動させて走るので、動力性能や乗り味は基本的にBEVと変わりません。CR-Vはそもそも素性のいいクルマで、燃料電池によるモーター駆動になっても正確な操縦性などは健在。重量が若干重くなった分、むしろ重厚感のようなものが新たに加わって、動的質感の高い乗り味でした。