文=加藤恭子 撮影=加藤熊三 写真提供=今田酒造本店
“吟醸酒発祥の地”、安芸津町三津
淡雪のような美しいうすにごりの酒をグラスに注げば、細やかな泡が弾ける。シュワシュワ感とともに感じる印象は、爽快&ドライ! 多くの日本酒ファンに愛される人気銘柄「富久長」を醸す、今田酒造本店らしいやさしいうまみとともに、さわやかな甘酸っぱさも広がる。
瀬戸内海に面した小さな港町、広島県安芸津町。なかでもひときわ清らかな三津湾に面した安芸津町三津は、知る人ぞ知る「吟醸酒発祥の地」だ。
“吟醸酒の父”ともいわれるのが、1847年、この地に生まれた醸造家の三浦仙三郎。彼はそれまで酒造りに不向きとされてきた軟水の発酵力の弱さを逆手にとり、低温で醸すという「軟水醸造法」を確立。このまったく新しい技術によって、現在、当たり前のように飲まれている吟醸酒は誕生した。