長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する。
写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登
カジュアルかつ快適。そして大人の品格を醸す
ビジネススタイルの自由化に伴い、職種によってはドレスシャツ(ワイシャツ)にネクタイといった装いが縁遠くなった人も多いはず。とはいえ、常にTシャツ姿では少々気軽すぎて落ち着かないと戸惑う大人も少なくない。そこで浮上してくるのがポロシャツという存在だ。ニットやカットソーなどの伸縮する編み素材を使用し、襟付きであるところが特徴のスポーティシャツである。
現代人がイメージするいわゆる「ポロシャツ」は、1933年にテニスプレーヤーであったルネ・ラコステが開発した、かぶりタイプの半袖型がひとつのオリジン。長時間ラケットを振り回して競技に臨むためのシャツは、非常に機能的でありクラシカルな襟付きのため、ジャケットと合わせることも可能だ。まさに「スポーティカジュアル」がメンズスタイルのトレンドである昨今、ポロシャツこそはそのベースアイテムとして理想のトップスと言える。
また、一定の人気を誇るポロシャツだけに、派生系となるモデルも最近は増加の一途。テニスやゴルフにも向くスポーティなポロシャツのみならず、ニットウエアの要素が強いドレスタイプのポロニットなど、様々にバリエーションを増やしているのだ。そこでオンタイムを含めたアクティブに活動したい時のポロに加え、オフのお出掛けシーンに向く優雅なポロなど、大人が選ぶべき名作ポロシャツをここで披露する。
1. JOHN SMEDLEY
英国シンプルニット界のトップランナー
もはやシンプルかつ上品なニットウエアの世界定番といえる英国のジョン スメドレー。特にファインゲージと呼ばれる細編みニットに関してはトップクラスの品質を誇る。さらに写真の一着は繊細で希少なシーアイランドコットンを使用しており、同社の細編み技術との融合により、シルクのごときなめらかな着心地が楽しめる。
数々のポロニットを打ち出すジョン スメドレーのなかでも、このモデルは1930年代から作り続けられている3つボタン型の「ISISポロ」。長年少しずつアップデートを繰り返すことで完成した、同ブランドのノウハウが詰め込まれた傑作だ。綿製のシャツとしてはややハイプライスかもしれないが、一度着ることで卓越した着心地やその美観に納得すること確実。