独自の審美眼を貫く、世界のレジェンドたち。政治家から作家、思想家、建築家、ビジネスエリートまで、彼らが身に着ける品々から、その生き様も見えてくる。いかに洋服を楽しみ、相手への印象を考えて装っているのか、ドレスファッションに精通するスタイリスト四方章敬氏が解説。今回は英国俳優のダニエル・クレイグのファッションにフォーカス。スパイ映画のパイオニアと言える『007』シリーズの主人公ジェームズ・ボンド役にして、英国王室から勲章も授かった名優の装いに“死角”はあるのか!?

写真=アフロ 協力=四方章敬 編集・文/名知正登

青い瞳に合うネイビー&ブルーのクレイグ流スーチング

写真:REX/アフロ

 ダニエル・クレイグが自身のキャリアを振り返って語る公開トーク・イベント「BAFTA A Life in Pictures: Daniel Craig」を2021年9月にロンドンの映画館、オデオン・ラックス・レスター・スクエアで開催。『007』のジェームズ・ボンド役にふさわしい貫禄のあるスーツスタイルで登場した。

「ネイビーのグレンチェックを使ったクラシックなスタイル。遠目には無地に見えるグレンチェックを白のタブカラーシャツを使って今どきなコーデにしてるところが良いですね。白シャツ、ネイビータイとベーシックな合わせですが、タイバーでアクセントをつけて凛々しい雰囲気に。一見地味ですが、同色のグレンチェック柄、タブカラー、タイバーなど細かいところに気をつかうのは、これ見よがしな装いとは対極にある英国紳士らしい控えめなこだわりを感じます」。