立大が〝サプライズ通過〟

 最終成績は大東大が10時間40分39秒でトップ。以下、明大、城西大、早大、日体大、立大、山梨学大、専大、東海大、国士大の順で通過した。今回、一番の〝サプライズ通過〟となったが立大だろう。

 実に55年ぶりとなる〝箱根復帰〟を決めたのだ。前回の落選校では大東大と城西大も復帰を果たしたが、両校はケニア人留学生を擁する大学。立大に留学生はいない。そのなかで前年16位から〝10校抜き〟となる6位で通過を決めた。

 立大は箱根駅伝に27回の出場経験を持つが、半世紀以上も正月の晴れ舞台に姿を見せることができなかった。しかし、創立150周年を迎える2024年に箱根出場を目指す駅伝部強化プロジェクトを2018年に立ち上がると、同年12月に中大で活躍した上野裕一郎駅伝監督が就任。チームは動き始める。

 本格強化1年目はスカウティングに力を注ぎ、2020年に好選手が入学した。昨年は前年28位から16位に浮上。チームは5㎞通過時でトップに立っている。そして今年も上野監督が現役時代に見せたようなアグレッシブな走りを展開した。

「昨年の経験を生かして、前のほうにいるのが大事だと思っていたんです。15㎞までは絶対に前にいく。箱根駅伝はキロ3分が最低ラインです。そこを意識するためにも『15㎞45分』というタイムを設定して挑みました」

 5㎞は4位、10㎞は3位、15㎞は5位で通過。終盤もさほどペースを落とすことなくプーマのユニフォームを着た選手たちが駆け抜ける。前年から確実に進化した姿を見せつけて、箱根駅伝出場という目標を1年前倒しで達成した。

「通過するとしたら9番、10番の瀬戸際だと思ったのでビックリしました。学生一人ひとりが一生懸命走ってくれたおかげだと思っています。個人では達成できないことなので、予選会通過は本当にうれしいです」

 レース直後のインタビューで上野監督は声を詰まらせた。戦いはこれで終わりではない。55年ぶりの箱根駅伝が〝新たなスタート〟になる。

「出るからには少しでも上の順位を狙いたい。選手たちにはシード権ラインを見つめさせて、来季は出雲駅伝や全日本大学駅伝にも出て行けるようにやっていきたいなと思います」と上野監督。江戸紫のタスキをつなぐ立大が激動の学生駅伝できらめくときがやってきた。