美食の街、南イタリア・カンパニア州都の名を冠しつつ、日本生まれの洋食である「ナポリタン」。自宅でも簡単に作れるが、デイリーではない格上の味わい修得のために今回レシピの完全公開を依頼したのが、ザ・キャピトルホテル 東急 オールデイダイニング「ORIGAMI」だ。

「旧キャピトル東急ホテル」時代にお客からの強い要望で誕生し、現在も大切に受け継がれているレシピの特徴は、ホテルならではのフランス料理のノウハウを生かし、生クリームと白ワインを使用していること。また、港町ナポリをイメージした遊び心として、海老をプラスしている。

背後に控える不動のフォーメーションは、タバスコと粉チーズ。戦後、進駐軍のために考案されたメニューなので、当然米国カルチャーもウェルカム。

世代を問わず愛され、懐かしい昭和テイストでありながら実はカルチャーミックス的。そんな懐の深さとミステリアスなまでのおおらかさを持つ一皿、ぜひレパートリーに加えてみてほしい。

スパゲッティ “ナポリタン”

材料【約2人分】

スパゲッティーニ(1.6㎜)…200g
塩…20g
たまねぎ(繊維に沿って縦に薄切り)…中サイズ1/2個
マッシュルーム(2~3㎜厚さにスライス)…7~8個
ボンレスハム(5㎜幅の短冊切り)…80g
ピーマン(ヘタと種を取り、縦に細切り)…1個分
むき海老…10尾

トマトケチャップ…240g
生クリーム(乳脂肪分45パーセント)…40g
無塩バター(1㎝角に切る)…10g
オリーブオイル…適量
白ワイン…適量

塩…適量
白コショウ…適量

パセリ(葉の部分を細かく刻む)…大さじ1

粉チーズ、タバスコ(各お好みで)

作り方

1.スパゲッティーニを茹でる。鍋に2ℓの湯を沸かし、塩20gを加える。スパゲッティーニを入れて茹でる。

2.具材を炒める。フライパンを火にかけてオリーブオイルを熱し、バターを加える。バターが溶けたら、玉ねぎを入れて透明感が出るまで炒める。

3.2にマッシュルーム、ピーマン、ハム、むき海老の順で加えて炒め、軽く塩と白コショウを振る。

4.むき海老に8割火が通ったら鍋肌から白ワインを注ぎ入れ、アルコール分を飛ばす。

5.4にトマトケチャップを入れ、生クリームを加えて塩と白コショウで味を調える。

6.茹で上がったスパゲッティーニを5に入れ、よくソースを絡ませる。ソースがお好みの水分量になるよう、大さじ3~4程度のゆで汁、またはお湯を加えて調整する。

7.6を器に盛り、刻んだパセリを振りかける。

編集・木村がセレクトした、おすすめワイン!

イル・コンヴェンティーノ
ロザート・デル・コンヴェンティーノ
(左)
イタリア・トスカーナ州で有機栽培されたブドウを使用したロゼ。トマトの甘酸っぱさには、サンジョヴェーゼのベリーやスミレのニュアンスが合わせやすい。一見キュートなようで、芯にタンニンの奥行きを持つオトナ味のこのロゼは、ナポリタンの穏やかな味わいと程よく並走しつつ、トータルでの風味の構成をキュッと引き締め、単調ではない展開を生む。

イ・ペントゥリ
フローラ ファランギーナ
(右)
長らくナポリの名を背負ってきたのだから、架空の里帰り感覚でぜひ出合ってほしかったカンパニア州のワイン。熟した洋ナシを思わせるフレンドリーな果実味は、ホテル仕様のコクと繊細な風味のグラデーションを持つナポリタンにも、無邪気に寄り添ってくれる。しっかりした酸が、ややソフトなパスタの食感のアクセントにも。

教えてくれたのは

シェフ/中村直人さん

「ホテルならではのフランス料理のノウハウを生かし、生クリームと白ワインを使用するのが特徴のナポリタンです。ケチャップは酸味のしっかりしたものを選ぶのがおすすめ。また、パスタは仕上がりの時のソースの水分量が重要。お好みに合わせ、ゆで汁を加えながら調整するのが、成功のコツです」