群雄割拠時代だからこその、原点回帰──
各家庭自慢の味はもちろん、輝かしい受賞歴を誇る専門店も多い中、今マイ唐揚げブラッシュアップのために知りたいのは、「元祖の味」ではないだろうか。
外食メニューとして唐揚げが初めて提供されたのが、昭和7年頃。現在の「三笠会館」の前身「食堂・三笠」だったという。実は、そのレシピは今も受け継がれ「三笠会館 Italian Bar LA VIOLA」で味わうことができるのだ。
今回は、総料理長の河原敏彦さんを訪ね、作り方と再現のコツを伺った。
さらに、編集者・木村千夏セレクトの「唐揚げに合う」ワインも紹介。マスターすれば一生モノ、ぜひチャレンジしてみてほしい。
三笠会館伝統の味 骨付き鶏の唐揚げ
材料【約2人分】
丸鶏(1~1.2㎏)…一羽
A
薄口しょうゆ
焼酎(アルコール度35度)
水
砂糖
塩
※秘伝のたれの配合は非公開のため、各適量
ゴマ油…適量
片栗粉…適量
サラダ油…適量
練りからし…適量
ゴマ塩(白ごまと塩を混ぜる)…適量
レモン(くし形に8等分に切る)…2個
イタリアンパセリ(飾り用)…適量
作り方
1. たれを作る。Aの材料を鍋に入れて火にかけ、沸騰寸前で弱火にして液体の表面が波打つ程度の火加減で2~3分熱し、冷ましてから、ゴマ油を加える。
2. 鶏肉をカットする。丸鶏の背部分を上にして置き、首からしっぽ側に向け、縦にキッチンバサミで切り、裏返して胸部分もカットし半身に分ける。
3. 内側の血合いや脂を除きながら、胸やモモなど、10等分に切る。ハサミを入れるときは、関節や骨に対して直角に。背中の部分中心、縦の幅2㎝程度と足先の肉が少ない部分は切り落とす。
4. 3をボウルに入れ、2人分で約60ccの1を乳化させるように手早くからめる。鶏肉がたれを含み、ボウルを傾けたときにゆっくりたれが垂れてくるくらいが目安。
5. たれの水分をよく切り、ボウルに片栗粉一掴み程度を3~4回に分けて加える。握って丸めるのではなく、鶏肉を広げながら全体に薄くまとわせる。片栗粉が均一につき、表面が乾いて見えるくらいがポイント。余分な粉は落としておく。
6. 多めのサラダ油を180℃に熱し、火が通りにくい部位から胸、モモ、手羽の順に重ならないように4を入れて揚げる。最初の2分は触らず、その後時折油から上げて空気に触れさせながら、表面に上がる泡が小さくなるまで5分ほど揚げる。
7. 油を切った6を器に盛り、お好みで練りからしとゴマ塩、レモンを添えてイタリアンパセリを飾る。
ワインを合わせるなら──
サントリー
ジャパンプレミアム
マスカット・ベーリーA(左)※
しょうゆ風味の料理なら、オールマイティの日本固有品種がマスカット・ベーリーA。今回の唐揚げはたれに漬けこまないため、軽やかなタイプをチョイス。ニンニクやショウガたっぷりで漬け込み系なら、もう少し濃度のあるベーリーAを選べばよりバランス良好。
モナステーロ ディ ヴィトルキアーノ
コエノビウム(右)
鋭角的な酸で脂の重さを切るのでは、ペアリングとして面白くない。そこで、果実の素朴なうま味で鶏肉のジューシーさを受け止め、広げるタイプの白ワインを。このワインは味わいがおおらかなので、家庭料理にも合わせやすい。鋭すぎず、きゅんとする酸が特徴。
※サントリージャパンプレミアム マスカット・ベーリーAは2022年9月6日(火)からはSUNTORY FROM FARMブランドの品種シリーズとして新発売する
教えてくれたのは
三笠会館 総料理長/河原敏彦さん
「特別なことは何もしていないシンプルな味ですが、昔からのレシピを忠実に受け継ぎ、長くお客様に愛されている一品です。たれに漬けこまない、鶏肉を握って丸く成形しないなど、いくつかポイントがあります。ぜひ、ご自宅で挑戦して楽しんでください」