税金を払いたくなる国のサービス

「Iittala」で扱うブランド「Flora_Aalto_Kastehelmi_Ruutu」

——教育や医療も無料など、公共のサービスがすばらしいのですが、税金はどのようになっていますか?

ラウラ 税金については、専門家ではないのですが、消費税が24%です。高いと思われるかもしれませんが、いい使われ方をしているというか、見返りを十分実感しているので、高いとは思われていません。ちなみに、2021年のアンケートでは、79%が「税金を払いたい」と思っている、と回答しています。今のシステムが素晴らしいのを実感しているので、喜んで払いたいと思う人が多いのです。

——税金の無駄遣いが目に余るように見える日本から見ると、それはちょっと驚きです。

ラウラ 社会の相互信頼度が高いのです。みんなで分担しよう、という考えが根底にあります。24%といっても、軽減税率なので食料品は若干安くなります。本も安いですし、医療、教育はタダです。必要不可欠なものは安いのです。一方、身体を壊してほかの他の人に医療費を負担してもらうことになるたばこや酒は高いですよ。車もCO2を出すから高い。かつて、肥満するからという理由で砂糖やジュース、お菓子にも高い税がかけられていました。

——車、酒、たばこ、砂糖、ジュースにお菓子に高い税。理由を言われてみれば合理的ですね。

ラウラ 失業保険などセーフティーネットがしっかりしていますよ。それがあるからこそチャレンジできます。何をしても国が助けてくれるという安心感があります。

——ホームレスはいないのですか?

ラウラ 極力落ちこぼれを作らないのがフィンランドです。補助金を受けることが恥ずかしくないので。

——落ちこぼれがいない、って包摂性の理想ですね。

ラウラ 歯の矯正も無料でしてもらいました。お医者さんの判断で、将来的に頭が痛くなる、健康によくないからという判断で、治してもらいました。そんなふうに、いろいろな人が多くの恩恵を受けています。

——今までのお話ではフィンランドのいいところばかり伺いましたが、ネガティブな側面はないのでしょうか?

ラウラ 日本と同じように少子高齢化は進んでいますね。また、人口がたった550万人で市場が狭いので、限界が出てくるということはあります。企業が成長したい場合は、フィンランドだけだと足りない場合が多く外へ進出するしかありません。マリメッコのようなフィンランドを代表する企業もアジアにフォーカスしています。ちなみに、日本市場は大きくて、アメリカ、EU、中国に次いで第4位です。(続く)