フィンランドのファッションに共通すること

——そのようなデザイン観から、どのようなファッション観が生まれていますか?

ラウラ 服は長く着られるようになっていて、サステナビリティは当然の前提です。たとえば水を使わないで作る「Pure Waste」(ピュア ウェイスト) というブランドがあります。コットンの問題は大切な資源水を使って汚すこと。それをやらないのです。普通のコットンで作ったエコバッグにしても、実は水をすごく使うのですよ。

「Pure Waste」

——世界の多くの地域では、まだ実態が不明なまま、表面上だけエコやサステナブルを強調するところもあります。具体的に説明して購買者を納得させているのはさすがですね。

ラウラ フィンランドではサステナブルなファッションがとても注目されています。国民のメディアリテラシーが高く、情報の透明性も高いから、環境によくないものはメディアやSNSでとりあげられます。すべての企業がなにかしらのサステナビリティに貢献しているはずです。値段の安さでは勝てないから付加価値で勝負するしかないのです。その価値の一つはサステナビリティです。加えて、サステナビリティはマーケティングというより、価値として認識されていますので、消費者側でもなぜ重要なのかの理解もあると思います。

——サステナビリティは、国としても前面に出していますね。

ラウラ はい、ブームになるずっと前から、幸せにつながる要素としてサステナビリティを大切にしていましたから。それを強みとして推すのは無理がないのです。たとえばこのNikari(ニカリ)の椅子にしても、世界に先駆けて、いち早く、ラッカー仕上げをやめました。サステナビリティの先駆者なのです。(続く)

Nikari(ニカリ)の椅子