理由⑤ 映像コンテンツの充実

 音楽やファッションとの関わりが深いスケートボードは、古くから映像コンテンツとも結びついてきた。SNSがない90年代からスケートボードをテーマにした映画やビデオ作品が制作され、数多くの名作が誕生。スパイク・ジョーンズが監督を務めた『MOUSE』(1997年)を筆頭に、90~00年代の作品は今もスケーターにインスピレーションを与え続けている。

 人気のスケートビデオには、その時代を代表するスケーターが出演。前述の『MOUSE』には、ジーノ・イアヌッチ、エリック・コストン、ガイ・マリアーノら、伝説のスケーターが登場し、高いスキルで圧巻のライディングを見せつけている。こうした映像作品は鑑賞者にスケートボードへの憧れを募らせるとともに、コーチ役も務めた。若いスケーターは何度も繰り返して再生し、彼らのトリックを自分のモノにしようと模倣に挑んだ。

 こうした映像を重視するスケートボードのカルチャーは、日本人にとって何ともありがたい話だ。国内に居ながら、海外のスケーターたちの滑りを間近に見ることができる。しかも近年はYouTubeやSNSによって、さらに手軽に映像を鑑賞できるようになった。

 その恩恵は、日本以外のスケーターも受けている。最近は中国や東南アジアのレベルが上がり、強い選手が出てきている。現在のスケートボード強豪国といえば、日本、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、オランダ、ポルトガルあたりが思い浮かぶが、5年後には思いもかけない国が名を連ねているかもしれない。