「薄底シューズ」の実力は?

 軽くて反発性に優れたズームXフォームを全面に使い、中足部のみにプレートを搭載。ソールを適切な硬さに調整したことで、安定性と推進力のあるライド感を実現したという。そしてアッパーには通気性と軽量性を追求するため、透け感のある軽量なエンジニアードメッシュを採用。前足部をしっかり包みこみ、快適なフィット感を生んでいる。

 実際に履いてみると、まずは「軽いな」と感じた。現行の厚底レースシューズである『エア ズーム アルファフライ ネクスト%』と比べて35gほど軽い。ソールは厚いわけではないのにクッション性は十分ある。地面をほどよく感じることができて、屈曲性も高いので、アルファフライと比べてコーナーなどが走りやすい。自由度の高いシューズに仕上がっている印象だ。5~10㎞ほどでカーブの多いレースでは、厚底よりも威力を発揮するかもしれない。

 2012年の出雲駅伝1区で大迫傑、設楽啓太らに先着したこともある元プロランナーのエリオット・ヒース(ナイキ ランニングフットウェア プロダクト マネージャー)は次のように話している。

「ロードでのレーシングシューズとしてだけでなく、ロードおよびトラックのトレーニングにも使ってほしいと思います。スパイクを履くほどではない、あるいは練習中はスパイクを履くことが禁じられている環境などでは、ナイキ ズームエックス ストリークフライは完璧なソリューションになるでしょう。箱根駅伝はヴェイパーフライやアルファフライを履く選手が多いと思いますが、出雲駅伝には向いているんじゃないでしょうか」

 出雲駅伝は6区間45.1㎞、全日本大学駅伝は8区間106.8㎞。全14区間中12.8㎞以下が12区間もある。今後は厚底から薄底にシフトする選手が出てくるかもしれない。この流れは距離の長くない高校駅伝(男子は7区間42.195㎞、女子は5区間21.0975㎞)にも大きく影響するだろう。

 近年は厚底レースシューズを履くことで股関節まわりの故障や足首の捻挫が増えたというデータもある。そのため最近はトレーニング時に同モデルの使用を控えているチームも増えてきた。厚底レースシューズに近い反発力を備えながら、小回りの利く薄底シューズは短い距離のレースだけでなく、スピードトレーニングでも重宝するモデルになりそうだ。

 なおズームエックス ストリークフライの新色はNIKEアプリのメンバー限定で先行発売済みで、5月中旬からは一部のナイキ取り扱い店舗でも発売されている。気になる人は完売する前にゲットしておきたい。